シャツ前立てのスタイル

シャツのイメージは前立てのスタイルによっても異なります。しっかりと前立てを見せる「表前立て」は、堅実なイメージであり、また少しスポーティなイメージです。生地を折り返して前立てを見せない「裏前立て」はどちらかというとエレガントなイメージです。

「日常的」ビジネスシーンや、ややカジュアルなスタイルでは「表前立て」、ビジネスフォーマルや華やかなシーンでスーツを着る機会は「裏前立て」と使い分けるとイメージが合います。

 

 

シャツの生地によるTPOイメージ

 

シャツの生地はコットンが多いですが、その織り方などでもイメージが異なります。

素材のTPOでは、スムースな手触りで薄手のものはビジネスフォーマルに向き、だんだんと手触りがざらざらして厚手の感触になるにつれてカジュアル感が増してきます。しかし、いっぽうでさらっとプレーンに織った生地よりも柄織りをされた生地のほうがエレガントさや重厚感が出ることがあります。

下記を参考に、その時着るスーツに合う生地のシャツを選んでください。

 

プレーンでさらりとした感触のブロードは万能選手なので、基本のシャツとして持っておくといいでしょう。万能ではありますが重厚感やエレガントさにはやや物足りない生地感であり、季節はどちらかというと春・夏・初秋向きです。

生地に重厚感のあるスーツなどには下のような織り柄のもののほうが合います。秋・冬はスーツの生地に合わせて、織り柄のシャツをバリエーションとして持っておくといいでしょう。

 

ビジネスカジュアル・カジュアルにはスーツではなくジャケット&パンツやセットアップなどもよく着ると思いますが、その場合はプレーンな平織はあまり向いていません。少し質感が合わなくなるのです。そのようなときは下のようなオックスフォードなどの少し凹凸感がある交ぜ織りが向いています。

 

 

カフスの種類

 

カフスの種類も、実はTPOがあります。市販のシャツはシングルやコンパーチブルが多いので選択肢はあまりありませんが、シャツをオーダーをする際にはどれが良いのか迷う場合もあると思います。ドレスコード表に合わせて着ていいシーンをそれぞれ示してありますので、参考にしてください。

 

 

 

 

 

 

 

シャツの下には何も着てはいけない?

 

シャツはもともと「下着」とされているものです。ですから、人前でスーツのジャケットを脱ぐ、という行為は「下着を見せていることと同じこと」とされ、本来はマナー違反です。ですから、当然シャツの下にまた下着を着る、という行為も本来は「意味がわからないこと」とされています。これらは伝統的な紳士のルールとされてきました。

ですから、特に海外では「シャツの下に下着なんてとんでもない」と考える人が多くいます。「日本人はスーツを知らない」と言われる所以のひとつでもあります。

しかし、高温湿潤な日本で、毎日の仕事でスーツとシャツを身に着けるとあっては、素肌とシャツの間に吸汗性のある一枚をはさみたいと思うのも人情でしょう。ですから、どうしてもシャツの下にアンダーシャツを着るときには「見えない・わからない」 ものを身に着けることが推奨されています。着るには工夫が必要なのです。

 

下記はそのポイントです。

●襟元からアンダーシャツがまったくのぞかないように深いVネックのもの

●着ていることが目立たないよう肌なじみの良い薄手でジャストサイズのもの

●肌色に近い色のもの

スーツスタイルでシャツのアンダーに何かを着る時には、絶対にそのアンダーの襟をのぞかせてはいけません。これは本当にカッコ悪く、装いのセオリーからするとあり得ないことなのです。ですから普通のTシャツなどはアンダーシャツとしては使えません。

 

 

暑いときのジェントルマン

 

なお、暑いシーズンでも半そでシャツはスーツ下に着てはいけません。見た目のバランスが奇妙になるのです。

エグゼクティブのイメージだけで言いますと、半そでシャツは単独でカジュアルパンツに合わせる時以外は身につけない方がいいでしょう。なお、欧米のジェントルマンの服装マナーでは、パブリックでは長そでシャツがマストです(暑いときには腕まくりをして着用することは良い)。

服飾の心得がある方は、暑いシーズンには、夏向きの素材のスーツ、鹿の子やサッカーなど涼しい素材のシャツを合わせます。そうすることできちんとしたスタイルで心地よく暑気を払いながら周囲にも涼しく見せる装いを工夫します。

日本でも着物の装いでは同様の工夫をしてきました。だんだんと熱気が増す日本の夏、スーツを日常的に着る必要がある場合はぜひシャツでも「涼しい工夫」をしてみてください。