デリバリーでは声や話し方以上に、話し手の視線のあり方が重要です。プレゼンテーションテクニックを含めてアイコンタクトの使い方をお伝えします。
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聞き手に「ささる」アイコンタクトの作法
コミュニケーションに欠かせないのは「アイコンタクト」であることはすでにご存知かと思います。
ところが、一対多の場面つまりプレゼンテーションやスピーチの場面などでは、その「アイコンタクト」が出来ていない人が格段に増えます。一対一でも、一対多でも、人に何かを伝えようとすれば、それは「コミュニケーション」です。ですから「アイコンタクト」の重要性は変わりません。それどころか「眼」を制す人は、オーディエンスに「ささる」作法を身につけていることになり、「伝わる」話し方がより容易になるのです。
ここでは、「デリバリーのアイコンタクト 3つのポイント」をお伝えします。「デリバリー」とは声の高低やピッチ、間、表情や動作などを含めた、話しぶり全般のことを言います。つまり、人の心をつかみ伝わるプレゼンにするための話し方や表現方法といった核心の部分を指しますので、覚えておいてください。
デリバリーのアイコンタクトのポイントは3つです。
●アイコンタクトのフォーカスとメリハリ
●ジグザグに見る
●ワンセンテンス・ワンパーソン
以下詳しくご説明します。
1.アイコンタクトのフォーカスとメリハリ
そもそも、アイコンタクトをデリバリーの表現として意識的に使うことが大切です。そのために、以下の「フォーカス」と「メリハリ」を理解しておいてください。
フォーカス
「たくさんいる人をいちいち見るなんてできるのかなあ」。
「アイコンタクト」と聞いて、そう思う人は多いでしょう。しかし、できるのです。と言うよりも、多くの人をぼうっと見つめるよりも、誰か一人の眼にフォーカスして話すタイミングを作ると、その周りの人も「見られた」感覚を覚えます。
強い視線は、それだけ人の注意を喚起する力があります。
視線と表情について学んだ人は「ソフト」や「フォーカス」「デビルス」を覚えていると思います。普通に多くの人をぼうっと見るだけでは、あなたの視線はいつも「ソフト」です。それでは力がなく、スピーカーとしての魅力や存在感が引き立ちません。誰か一人を「フォーカス」で見ること。話をしている最中に何度かそれを自分に課してください。特にキーワードを言う時やポイント説明のときに、そのアイコンタクトが力を発揮します。少し緊張をときたいときや、一般的な話のときには「ソフト」に戻せばいいでしょう。
メリハリ
アイコンタクトは非常に重要な非言語コミュニケーション要素です。視線を合わせることで相手の脳を刺激します。相手への関心や好意を示す意味もありますが、またいっぽうで視線は相手に心理的なプレッシャーを与えます。
ですから、見るべきときはしっかり見る、逆に見ないことで相手を安心させる、というメリハリのある使い方をすることが必要です。聞き手に視線を合わせる「アップタイム」、視線をはずす「ダウンタイム」を設けましょう。視線やアイコンタクトにメリハリを付けてください。
「アップタイム」は重要なことを話すタイミングです。聞き手へのエネルギーを注ぐつもりで、しっかりと視線を向けてください。いっぽう、「ダウンタイム」では、聞き手がそのエネルギーを消化するようなイメージです。話に間を置いたりしながら、視線を聞き手がいない場所に落としたり資料やスライドを見たりすることで相手がいったん落ち着くタイミングを与えましょう。
2.ジグザグに見る
「ジグザグに見る」というのは聞き手を順々にジグザグ状に見ていくことです。
例えば、右前、左前、右奥、左奥、・・・アイコンタクトを一人だけにするのではなく、平等に見ていく感覚です。
以下は実際に見る例です。
1) まず、話し手の左奥にいる人に視線を合わせて
「大事なのは○○です」
2) 続けて右手前にいる人に視線を合わせて
「なぜ、大事かというと〇〇だからです」
3) 次に、右手中くらいにいる人に視線を合わせて
「私の〇〇時代にこんなことがありました」
4) 次に右奥の人に視線を合わせて
「これが何よりの〇〇の証明だと思いませんか?」
このように交互に視線を移しながら、一人一人に話しかける感覚で使ってください。最初は難しく感じる人が多いと思いますが、一対一なら普通にやっていることです。できると思って始めてください。
プレゼンは「語りかける」ことが非常に重要です。誰だって、勝手にペラペラしゃべっている人の話にはあまり関心を持ちませんが、こちらを向いて熱心に話す人には、フリでも耳を傾けようとするはずです。プレゼンのデリバリーのポイントは、話し手が「語りかけている」ことを聞き手に伝えることです。
ただし、ジグザグのパターンを同じようにずっと繰り返すと、かえって単調です。全体を見渡すとき、ジグザグに見るとき、とを使い分けましょう。
3.ワンセンテンス・ワンパーソン
2の話し方の例でわかるように、ジグザグに視線を動かすタイミングは、だいたい「一文(1センテンス)」ごとです。一文くらい話したら、次の人とアイコンタクトするのが「ワンセンテンス・ワンパーソン」の意味です。
だいたいそれくらいの時間の間隔で視線を動かしながら話すと、適切なリズムになりやすいのです。
それよりも早く、ぱっぱっと目を移していくと、ちょっとせわしない感じです。例えば、右前を見て「大事なのは」、左前「○○です」、というスピードだと、ちょっと落ち着きなく感じますね。
また、ずっと一人を見ながら話しをしてしまうと、周囲の聞き手が飽きてきます。
「ワンセンテンス・ワンパーソンが基本」と覚えましょう。
以上、デリバリーのアイコンタクトのポイントをお伝えしました。これらは人の注意を逸らさないための基本のポイントですので、身につけておいてください。