ところかわれば方法も変わる。特に香りは気候やTPOによって好むや好まないが変化しやすいものです。日本で香りをたしなむために以下のことに必ず気をつけてください。

 

⑴気候の違いに注意

 

 

日本とヨーロッパは気候が違います。そして、フレグランスはもともとヨーロッパを中心に発達しました。現在でもフレグランスの多くは欧米ブランドが中心で、ヨーロッパ各国から日本に輸入されています。多くが魅力的な香りです。

ここで気をつけたいのは、乾燥して冷涼な気候であるヨーロッパと比べ、日本は湿潤な気候だということです。ここに気づかず、ストレートに欧米の人のフレグランスのつけ方をマネすると、香りすぎたり、場合によっては悪臭に近くなる場合があります。

そのため、日本でのつか方や香りの選択においては欧米でお手本とされているつけ方よりも「やや控えめ」がポイントになります。

日本では古来より、着る物に香りを焚きしめたり、布などに含ませて着物に忍ばせたりしていました。湿った気候の中でほのかな香り方をするような使い方をしていたのでしょう。現在でも匂い袋など日本独特のフレグランスグッズもありますが、香りの種類自体がクラシックであり、あまり洋服に合うものではないため、使いにくいようです。

いずれにしてもフレグランスを身につけるときは、ヨーロッパ伝来のやり方をそのまま真似せず、やや控えめ、という感覚でいたほうがいいでしょう。

 

 

⑵環境によって変わる日本人の感性に注意

 

湿潤な気候も日本の特徴ですが、空間に期待される雰囲気に「清々しさ」があることが多い、という「日本人ならではの感性」があることも特徴です。

例えば、食事をする場所によって「あるべき香り」に対する感覚が変わります。

もしも異国感が強い場所であれば少し強めな香りでも、良いアクセサリーとして機能しやすくなります。

フレンチレストランやイタリアン、あるいはもっとエスニックなレストランを想像してください。肉やハーブ・スパイスなどの濃厚な香りに満ちた空間では、濃厚な香りでも受け入れやすいのです。他にも人いきれにあふれたパーティ会場などの広い場所も同様のことが言えます。

 

しかし、和食を出す割烹やお寿司屋さんなどはどうでしょうか。

米や繊細な出汁など淡い香りしかしない空間や、白木などを使った清廉なイメージの空間では、日本人の感性はたちまち強い香りを受け付けられなくなります。

行く場所はどこか、によって、感性が海外風になる場合と日本的になる場合と二つを無意識に使い分ける日本人。柔軟だと言えますが、フレグランスをつけるときはそこも注意して、行く場所の雰囲気に合わせましょう。

 

⑶周囲にいる人の感覚に注意

 

上にあげたような気候や感性で、日本ではもともと淡い香りを好む人がほとんどです。それに加えて、ビジネスシーンでは、身だしなみの意識自体も遅れており2000年代になるまでは自分の香りをマネジメントする感覚をあまり持たないビジネスパーソンが目立っていたのです。そのため、いまだに男性の間では「香り」というと「チャラい」「自分には関係ない」と毛嫌いする人も存在します。

 

そんな「香りに慣れていない人」が多い環境では、欧米系の人なら気にしないような香りの種類や濃度には「つけすぎ」という感覚を持たれがちです。

ですから、欧米のエグゼクティブならビジネスシーンでも平気でつけるであろうややセクシーな香りや濃厚な香りは、その人のプロフェッショナルさを疑わせるようなこともあるのです。周囲の感覚にも気をつけながら、香りを楽しみましょう。