「フレグランス」。この言葉は、一般的に香りや香料などを表します。ですから、液体状の香水以外の匂い袋やサシェもフレグランスの一種ですし、身に着ける香水やコロン以外に使われることもあります。しかし、この講座の中では、身だしなみや装いとして身に着ける液体状の香水を「フレグランス」と呼び、身につけ方や選び方をお伝えします。

「昔」と付き合い方が変わった? 現代のフレグランスの意味

 

フレグランスの起源は、かなり古く、メソポタミアや古代エジプトまでさかのぼるそうです。自然の花や草木、鉱物などの香気はとにかく人間を魅了したのでしょう。魅力的なだけでなく、人を惑わしたり癒したりする不思議な力も持つ「香り」という物質は、神殿での祭事に使われ、また希少なことから高貴な贈り物としても使われました。

 

香料をアルコールに溶かした、今の香水のようなものは15、16世紀ごろにヨーロッパで作られたそうです。ヨーロッパでは宮廷文化が華開き、まさに最盛期の頃。王族貴族がこぞって愛用し、香水はあっという間に紳士淑女の必需品となりました。しかし、ご存知の方も多いでしょうが、その頃のヨーロッパでは王族貴族であっても、あまり入浴の習慣がなく、また糞尿処理施設も整っていなかったことから、宮廷にも都市にも悪臭が立ち込めており、香水は「におい消し」として使われる側面が強かったのです。 これは日本でも平安貴族など同様の状況であったと言われています。

 

 

かなり昔のことであっても、フレグランスを何となく「不潔を隠す」ものとしてイメージを刷り込まれてしまっている人は少なからずいるようです。しかし、現代では、きちんと自分を清潔に保った上で、魅力のニュアンスを付加したり、自分の気分を上げたり癒したりする「勇者のアイテム」という理解がされるようになりました。

私たちはこのフレグランスを知的に活用していきましょう。すでに先進国のエグゼクティブは、はじめています。

つまり、フレグランスを積極的に味方として取り入れ、自分の魅力の表現や、またセルフコントロールやメンタルフィットネスにも利用できるツールとして、その機能をフルに使っていくべきです。

 

 

多様性が加わった、現代のフレグランス

 

多様性は、フレグランスの世界でも当たり前の潮流となっています。例えば、男女どちらでも使える」というフレグランスが増えてきました。

以前から透明感のある、男女どちらがつけても差し障りのない爽やかな香りはありましたが、現代の香りはもっと個性的なものばかりです。作り手が「男性用、女性用」と囚われずに自由なイマジネーションで香りをデザインするようになってきたことの現れでしょう。

 

 

作るほうが「これは男性に、これは女性に」と決めるのではなく、選ぶほうが作り手の世界観を自分で選択して決める、とても「今」らしいフレグランスやブランドがどんどん生まれてきています。

また、アルコールフリー、ヴィーガンや天然素材にこだわった製品をするブランドやメーカーも、まだ多くはないながら、メジャーな売り場に登場してきています。

どんどん多様性が加わっている、現代のフレグランス。ぜひ、雑誌などで時々チェックしながら、気に入るブランドを見つけてください。

 

 

ジャケ買いもあり? あなたを表現するフレグランス

 

脳機能の研究が進み、「嗅覚が人の感情や記憶に強い影響を及ぼす」ということがわかってきました。人が持つ香りは、その人の印象を決め、またその印象を他者の記憶にとどめる役目を果たすのです。

その意味では、自分のフレグランスは「好き・嫌い」だけではなく、自分が表現したいその時の自分にふさわしいかどうかも、大事な選択基準となります。

自分にとって、どんなものがふさわしいか? 香りを選ぶのは、意外と大変だと思うかもしれません。何しろ、日本の売り場にあるものだけでも何百種類とありますから。

ただ、あなたの仕事のキャリア、あなたがついている役割、仕事で会う人々、あなたがいる仕事環境、仕事で出したいイメージ、などビジネスシーンから考えると、自ずと考えやすくなるでしょう。「香りそのもの」で選びにくい場合は、ボトルのデザインにも注目してみてください。

フレグランスのボトルには、そのフレグランスのブランドが香りに込めた思想や身につけて欲しい人のイメージが現れます。そういう意味では「ジャケ買い」は一つの判断基準です。

 

 

ただし、ボトルで選んでもこの講座をよくご覧になってから、フレグランスの濃度、初めから終わりまでの香り方、などをしっかり見極めてからご購入ください。終わりの方には、エグゼクティブにふさわしいブランドやフレグランスをリストアップしました。そちらもどうぞ参考にしてください。

フレグランスを使って、ぜひ自分を表現してください。では、続きをどうぞ!