実は意外なところにも、声や話し方のコントロール要素があります。その中で特に多くの人を変えてきた2つをご紹介します。
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(時間 08:22)
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声をもっとコントロールできる要素
声や話し方の要素には、ふだん意識していないような意外なところもあります。そこを意識し、見直すことで、自分がコントロールできる可能性は増えていきます。その中から、特に多くの人の声や話し方を変えた、「共鳴場所」と「ベクトルのイメージ」をご紹介します。
声を調節できる場所
共鳴する場所が作るボイスイメージ
声がどうやって出るか、ご存知ですか?
声は、体内に取り込んだ空気を出す時に空気が「声帯」を通ることで出ています。 しかし、声帯を通るだけでは、「ぐー」「ヴァー」のような、ただの濁った空雑音に過ぎないそうです。それが私たちがふだん出している「声」のような音にして人に聞こえるようにするには、人間の体内にある空洞に響かせることが必要です。
空気を吸って、その空気を吐き出すときに声帯で音がつき、その音が体内に共鳴することで「声」として人に聞こえているということです。
楽器に例えると、バイオリンの弦を弾いただけではダメで、胴体の空洞部分に共鳴することで美しい音色になるのと同じですね。そして、どの空洞の共鳴なのかで、音の質や高さも変わるのも楽器と一緒です。
声も共鳴場所によってある程度変えられるということです。ただ、 ほとんどの人は覚え込みや習慣で無意識に自分の場所を決めています。あなたも、自分の声の共鳴場所はどこかなど考えたことはないでしょう。ですから、いちどその場所を確認して、場所を意識的に変えようとするだけで声質がかなり変わる例もあります。
もし、あなたが「声を変えたい」と思うなら、自分の声の共鳴場所を探ってみてください。それぞれの場所によって、出てくる声に違いがあります。あなたの予想ではあなたの声はどこで共鳴しているでしょうか?
●「頭」の共鳴は甲高く通る声
●「鼻腔」の共鳴は少し詰まったような声
●「口腔」の共鳴はくぐもった声
●「ノド」の共鳴は渋めの声
●「胸」の共鳴はパワフルな声
自分の声の共鳴場所を探る
一般的に一番多い共鳴場所は「顔全体」だそうです。 自分の声がどこに響かせているかを知りたい場合は、この方法を試してください。
<方法> ハミング(口を出して「ん~」と声を出す)を使って行います。
①鼻腔に意識を合わせてハミングの音を響かせる
②次に唇を震わせながらハミングの音を出す
③次に鼻腔と唇の両方を震わせて音を出す
<ここまでで、音が響いている時のその場所の振動が、大体わかっていただけたと思います。 次へ>
④ ①と②を交互に行う。意図した場所に響かせることができることを確認する。
<ここまでで、「震わせる場所」を自分である程度コントロールできるようになりました。 次へ>
⑤「あー」と声を出しながら、頭・鼻・口・喉・胸、とそれぞれ場所を変えながら音を響かせる
⑥感覚を掴んだら、現在の自分の共鳴場所と思われるのはどこが一番近いかを探り当てる
⑦ ⑥から場所を変えて、どの場所が自分の理想の声に近いかを考える。
⑧ 本格的に声を変えたい場合は、頭・鼻・口・喉・胸の各場所での発声を録音。望ましい声にいちばん合った場所での発声を練習する。
「ベクトル」が変える声のイメージ
声の向きと大きさを視覚化する
声という見えないものをコントロールしようとするとき「視覚化してイメージを掴む」という方法があります。 ここでご紹介するのは、発声をコントロールするときの「声のベクトル」という方法です。
「ベクトル」とは、その昔、数学で習った覚えがあると思いますが、力の向きと大きさを表す図で、矢印で表現されます。矢印の方向が力の向きを、矢印の太さが力の大きさを表します。
これに従い、あなたの声をベクトルとすると、先ほどの「声の共鳴場所」とも関連しますが、普段あなたの身体のどこから出て、どのような太さで、どの方向に向かっているでしょうか。 実際にどんな形のベクトルになるのかを想像してみましょう。
普通はどのあたりから響いて、何に向かって声を発しているか、明確なイメージなど持っていないものです。しかし、自分の声をベクトル化してみると、実は目の前の相手を通り越した放物線を描いていたり、相手の目の前で落下するような弱々しいものだったり、「伝わらない」「届かない」ものであるかもしれません。あるいは、太く直線的で相手を貫くような形なので、相手を無意識に恐れさせているかもしれません。
ベクトルをイメージして発声する
場面や意図によって、相手に届けたい声は変わります。そのようなときは、どう声をコントロールすればいいでしょうか。
腹式呼吸による発声では、豊かに取り入れた空気を使って、声を太く大きく出すことも、柔らかく優しい声にすることも加減することが可能です。
それ以外では、このベクトルのイメージによる「声のコントロール」は大変役に立ちます。理想的な方向や太さにし、直接や弧を描くといったイメージにするだけで、声の発し方を自分で無意識にコントロールできるようになり、声に変化が生まれます。実際に人と話すときや、皆の前で話しなどするときに使ってみてください。
例えば、目の前の相手に力強く語りかけるときはどうでしょうか。自分の胸のあたりから、まっすぐ相手の胸に向けて太い矢印が行くイメージはいかがでしょうか。(バスケットの”チェストパス”のイメージです。)
プレゼンなどで少し遠くにいる複数の人間に語りかけるときは、胸からやや太めの矢印で軽い放物線を描くイメージはどうでしょうか。
自分の声が弱々しい、うまくプレゼンで話せない、と思う人は、実は無意識下でふさわしくない太さのベクトルを見当違いの方向へ向けているかもしれません。
意識の持ちようによって、身体のコントロールはある程度可能になります。声や話し方もしかりです。自分がどのような思い、イメージで相手に言葉を届けているかを意識してください。
いかがでしょうか? 声の共鳴場所という身体機能を使った調節、声のベクトルという視覚化イメージと意識を使った調節、と2種類の声のコントロール方法をお伝えしました。
人は、少しの気づきや変化でも自分を変えることができます。思う通りの声イメージにしたい場合は、ぜひこの章の内容にトライしてください。