立つ、座る、着る、脱ぐ、、、こんな何でもない日常の動作ですが、人前で見せる自信はありますか? パフォーマンスが注目されるような場面で「見え方」で損をするのはもったいない。日常的な振る舞い方も整えておきましょう。

 

 

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(時間 (トータル 15:42)

■「重要なことを話している人」に見える座り方(07:20)

■「立つ・座るのアクション」(08:22)

 

 

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(時間 15:42)

■「重要なことを話している人」に見える座り方(00:00〜07:20)
■立つ・座るのアクション〜(07:20〜15:42)

 

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「重要なことを話している人」に見える座り方

 

「A氏は新興企業のCEO。新しいテクノロジーに関する見識が豊かな人物だ。今日はそのA氏や他の企業代表を招いてのパネルディスカッション。海外のエグゼクティブも数人加わっている。

ステージの上にしつらえられた椅子に座るパネリストたち。オーディエンスは300名ほど。今回のディスカッションのテーマは、A氏にとって自信のあるテーマ。かねてからの持論を元に、堂々と意見を述べたつもりだった。それにも関わらずオーディエンスの大半はA氏の発言にはあまり注目せず、海外からのパネリストに注目して、その意見にしきりに感心している。

なぜ、A氏は今ひとつ関心を持たれなかったのか? A氏の話にはそれほど説得力がなく、海外からのパネリストにはあったのか? 

それは半分違っていて、半分当たっている。話し方はそう悪くなかった。しかし、パネリストたちが座ったまま並ぶステージで、問題だったのは、実はA氏の座り方だった。まるでだらしない小心者のような座り方は、残念ながらA氏が話していることが重要だとはとても思えないものだった。」

 

これはある経済記者が話していたことをドラマ風の文章にしたものです。つまり、実際にあったことです。座り方で話の印象が変わるなんて、そんなバカな、と思うかもしれません。しかし、プレゼンやスピーチ、ディスカッションなど人前に出るような時は、印象次第でオーディエンスの反応が変わることはあまり珍しくありません。今はそのような場面はあまりないという方も、これから増えることはあり得ます。

 ビジネス先進国では、動作や身体の状態がいかにメッセージ性を持つかを各人がよく理解しています。そのため、動作の端々に自然に意識が行き届いています。残念ですが、日本人との「格」の差をつけられやすいところです。

いずれにしても、パフォーマンスが注目されるような場面で「見え方」で損をするのはいちばんもったいないことです。自分のパフォーマンスに集中できるように、座り方をはじめとした日常的な振る舞い方はしっかり整えておきましょう。

ここでは、座り方、立つ・座るのアクション、スムーズな上着の脱ぎ着についてご紹介します。

 

座り方のポイント

 

さて、まずは座り方です。立った姿勢や歩き方もその人の人となりや能力を印象づけますが、座り方も同様です。

座り方でお伝えしたいポイントは4つです。

1 浅めに座る

2 つま先が内側に向いてはダメ

3 ハの字・逆ハの字はダメ

4 足はやや先に出す

 

では、1〜4を少し詳しく説明します。

 

1 浅めに座る

 

「紳士淑女は背もたれのない椅子で育てられる」と言われます。昔から紳士淑女と目されるような人は、座っている時でもきちんと背筋を伸ばし、背もたれにどっかり寄りかかるようなだらしない様子は見せないこと、という戒めのような言葉です。英国の古い言葉ですが、英語圏のビジネス先進国では、一般の家庭でもこのしつけが行き届いているように見えます。

こういったしつけの差でしょうか。身体を支える筋肉、腹筋や背筋が強く、長時間良い姿勢で立っていられるのは英語圏の人に多いようです。立食パーティなどで見ていると、会が進むにつれて英語圏の人と日本人とでは差が表れてきます。英語圏の人は年配の方でも最後のほうまで背筋を伸ばして立ったまま談笑していますが、日本人は早々に端のほうの椅子で座り込んでしまうことが多いのです。

べったりと背を後ろにあずけてだらしない雰囲気の座り方には「信頼性」「知性」「品や威厳」「かっこよさ」は全く感じられません。背もたれのある椅子であっても、あまり寄りかからず、浅めに腰かけ、背筋を伸ばして座るようにしましょう。

基本的な座り方では、背もたれからこぶし大くらいを空けて腰かけます。また、足の角度は90°くらいです。

 

 

基本の座り方では、ヒザを合わせて、足首も合わせ、足をまっすぐ下すような様子になります。しかし、ご存知のように男性らしさ、女性らしさが感じられるバリエーションがあります。その場の雰囲気に応じて選んでください。

 

●男性らしい座り方:肩幅くらいにヒザを開け、足をまっすぐ下す。

●女性らしい座り方:ヒザを閉じたまま、両足を少し倒して流すようにする。

 

 

この基本の座り方は、ソファーのような低めのゆったりした椅子でも同様です。ただし、男性の姿勢はやや前傾になります。女性の場合はソファーのような低い椅子の時には、座面よりヒザ頭を低くして座るよう気をつけてください。

 

 

 

2 つま先が内側に向いてはダメ

前から見たときに足のつま先が内側に向いていると、それだけで頼りない印象になり、マイナスの印象しかなくなります。無意識でやっている人がかなり多いので、注意が必要です。

ステージなどで座っている様子を人から見られるときだけでなく、ちょっとした会議のテーブル下で見られるだけで印象を下げますので、気をつけておいてください。

 

 

3 ハの字・逆ハの字はダメ

座り方の基本では、足はまっすぐ下すと言いましたが、これも気を抜いていると、ヒザか足首のどちらかが広がることがよくあります。

そのまま気づかず、股を広げたような座り方(逆ハの字座り)や幼い子のような座り方(ハの字座り)になっていると、だらしない、粗暴、幼い、頼りない、という印象を与える可能性がありますので、自分の座り姿に気をつけてください。

 

 

4 足はやや先に出す

 

基本の座り方として、足の角度は90°であることを説明しましたが、見られる場面では。そこから5cmほど前に足先を出してください。こうすることで「足長効果」が生まれますので、写真を撮られる時なども覚えておかれるといいでしょう。

 

 

逆に絶対してはダメな座り方は「椅子の中に足をしまい込むこと」です。これも無意識でやっている方が多く、本当に気をつけていただきたいことです。

この座り方がダメな理由は、見た目がとにかくカッコ悪いこと。非常に小心者に臆病に見えてしまうせいか、自分を必要以上に守っているイメージが周囲に伝わってしまいます。

また、足を椅子の中に入れてしまうと、姿勢が崩れ、背筋が曲がったり首が出たりして、上半身までカッコ悪い様子になってしまいます。そうならないよう注意してください。

 

 

立つ・座るのアクション

 

人前で立ったり座ったりする場面も意外と多くあるものです。「◯○さん、では中央に出てスピーチーをお願いします」と言われて立ち上がるとき、あなたはどのようなアクションをしますか? 立ち上がって乾杯した後に座るとき、あなたはどのような動作をしますか?

立つ・座るの基本アクションも覚えておくとスマートな所作ができるようになります。簡単ですので、ぜひ覚えておいてください。ポイントは、あまり無駄な動きをしないということです。「洗練された動作のセオリー」としてもあった通り、余計な動作がない人は、洗練されて見えます。

 

まず普通、してしまいがちな「立ち上がる動作」を見てみましょう。

 

●お尻で椅子を後ろに押す(ガタガタと音がし、お尻を突き出したような格好)

●テーブルに手をつき立ち上がる(上体が前後に揺れる)

●少し中腰の状態で脇に出ようとする(バタバタした様子になる)

これらの動作をやめ、次の動作にします。

 

<立ち上がり方>

 

1 出る方向へワンステップ片足を出す

2 そのまま滑り出るようにして、先に出した片足の方へ立ち上がる

3 立ち上がったところで、足を揃える  

(男性:上着ボタンを閉める)

 

一つずつ説明します。なお、ここでは「自分の左側に立つ」という前提で説明します。なぜなら、会合や食事会などで、大勢が長テーブルなどについている場面で立ち上がる時は自分の左側に出るのが国際的なマナー(プロトコル)の決まりになっているからです。

立ち上がる時には自分の左側に立つ、と覚えておいてください。もちろん、空間的にそうできない場合もあるので、その場合は臨機応変に判断してください。では、立ち上がり方を説明します。

 

 

1 出る方向へワンステップ片足を出す

スマートな立ち方では、椅子を下げてその場に立つのではなく、椅子はあまり動かさずに、立つ場所に体を滑り出すようにします。

出る方向へ、その方向にある片足だけを踏み出してください。

 

 

2 そのまま滑り出すようにして、先に出した片足の方へ立ち上がる

 

先に出した足を支えに、滑り出すように横へ立ち上がっていきます。先に出した足のほうへ重心をかけてヒザを伸ばせば立ちやすいので、そのままサッと立ち上がってください。立ち上がるときは、先に出した方の足のヒザをできるだけ伸ばすようにすると、スマートなイメージになります。

 

 

3  立ち上がったところで、足を揃える  

立てたらすぐに、残っているほうの足をもう片方の足とカカトを揃えてください。これで立つアクションは完了です。

 

 

(男性)立つ・座ると同時にボタンの開け閉めを行う

男性がスーツやジャケット着用の場合は、通常座るときにボタンを外して座ります。ですから逆に立ち上がるときにボタンをきちんと締めてください。これはスーツに関する暗黙のルールです。

なぜなら、自分のサイズにフィットしたスーツを着ていれば、自然と座った時は苦しいので、「失礼してボタンを外す」ことになるからです。しかし、立ち上がった時は完璧なシルエットになるように、ボタンを再びはめ直すことになります。

大変細かいことですが、これもまた「洗練」された雰囲気になるかどうかの小さな差のひとつです。    

 

<座り方>

立ち上がり方のアクションの逆回しとなります。

 

1 右足を椅子の前に戻す

2 体重を右足のほうへ移動させながら身体を椅子の前に入れる

3 残った片方の足を椅子の前に戻し、着席する

(男性:上着ボタンを外してOK)

 

いかがでしょうか。ここまでのアクションはわかりましたか? スムーズにできるように練習をしておいてください。

 

スムーズな上着の脱ぎ着

 

スムーズな上着の脱ぎ着を身につけておくと、人前でバタバタせずにすみます。

ただ、その前に上着に関するマナーを一応理解しておいてください。スーツ着用の場合、人前で上着を脱ぐのは本来はマナー違反とされています。男性のスーツの場合、中に着ているシャツは下着とされていますので、上着を脱ぐということは、人前で下着を見せる、ということと同じなのです。女性のスーツも、男性スーツの流れで生まれたとあれば、同様に人前で上着を脱ぐことは好ましくない、と言えます。

ただ、会社内や親しい間柄の取引先などでは「ちょっと失礼して上着を脱がせていただいていいですか」ということもあるでしょう。(スーツ着用の場合、何も言わずに上着を脱ぐのは失礼にあたります。必ずひとこと「失礼して上着を脱がせていただいてもいいですか」と声をかけてください。)

また、寒い時期にコートを脱ぎ着するときにも、いたずらに空間や時間をとらないように手際よくスマートに脱ぎ着するコツとして覚えておいてください。

 

<上着(コート)の脱ぎ方>

※ここでは右手を利き手として説明しています。利き手が左手の方は右左を逆にして行ってください。

 

1 上着のボタンを外し、いちばん上のボタンあたりを持って肩を脱ぐ

 

2 後ろに手を回し、左手で両袖先をつまむ

 

3 左手で両袖先をつまんだまま、右手を抜く

 

4 両袖先を右手に持ち変える

 

5 左手を抜く

 

6 上着の両肩をまとめて持ち、襟を整える

 

7 上着を二つ折りにして左手に持つ

上着(コート)の脱ぎ方はこれでOKです。 この方法は、袖さばきが簡単で、脱いでから折りたたんで手に持つまでがとてもスムーズです。また、人の邪魔になるような余計な場所をとらないですみます。人を訪問したり、パーティやレストラン会場などで人と行き交う場面でもたもたすることなく、サッと脱げる方法ですから、身につけておいてください。

 

<上着(コート)の着方>

着方は脱ぎ方の逆と考えていただければ結構です。最後に衿を整え、下にシュッと引く動作は、先進国エリートは自然に身につけている動作です。自分に気合を入れる合図としても使えますので、今まで知らなかった方はぜひ取り入れてください。

※ここでも右手を利き手として説明しています。利き手が左手の方は右左を逆にして行ってください。

 

1 左手を袖にとおし、肩を合わせる

 

 

2 左手で肩のところを支えながら、右手を袖にとおす

 

3 左右の衿を合わせる

 

4 (テーラードカラーの場合)衿をもって、シュッと下に引く(整える)

 

※女性はこのアクションはややおとなしめのほうが似合います。

 

 

 

いかがでしょうか? できましたか? 座り方、立ち方、上着の脱ぎ着はすべて基本動作です。 瑣末なことですが、いざというときに人前で自信がない、恥ずかしい、と人に思わせるのが、こういった何でもない動作です。

日常的ななんということはない動作だけに、いちいち意識しなくてもスマートな動作がスムーズにできるようにしておいてください。