「ワンランク上」「一流」「エグゼクティブ」こんな言葉から想像するのは「余裕」や「落ち着き」そして「品格」。それらをふだんから表現できている人は、何が違うのか? 今日から簡単にできる表情をお伝えします。

 

 

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■顔の表情を味方にする方法(時間 04:35)

 

■アルカイックスマイルとは(時間 05:49)

 

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■顔の表情を味方にする方法(00:00〜約04:35)

■ハーフスマイルを詳しく+笑顔エクササイズ1(約04:35〜10:24)

 

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顔の表情を味方にする方法

 

顔は一番見られるパーツ

人間は、自分でも知らないうちに、本能的に危機回避のためのさまざまな手段をとっています。そのために、無意識のままに外部の情報を取り入れ、その情報に対して素早い判断を下しています。これが「知覚」です。知覚に使われるのは、ご存じのとおり、私たちの五感、つまり視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚という感覚器官です。

ですから、人の五感に触れる全てのものは自分の情報を何かしら伝えている「メッセージ性」があります。中でも顔は重要です。なぜなら、ほとんどの人がお互い普通にコミュニケーション中に見ているからです。

心理学者であり、非言語コミュニケーションの研究で有名な McCrosky & Richimond は、人間が他人の顔に対して「豊富な情報を提供する大量の手がかりを見つけられると本能的に感じている」と言っています。

顔の重要性はおわかりですね? 人に好感を持たれたい、信頼されたい、説得力を高めたい、影響力を強めたい、このような希望を持つ人にとって、「顔」は大事にすべきパーツ、武器やツールとして利用できるパーツなのです。

 

大事なのは顔立ちじゃなくて表情

「顔」というと、多くの人が造作、つまり生来の顔立ちが良いか悪いか、ということに囚われがちです。もちろん、造作が良いに越したことはありませんが、造作よりももっと大事なものがあります。それは顔の表層のツヤや清潔感、そして表情の適切さです。それらのほうが造作よりも、よほどその人の「人となり」について多くを他人に語るからです。

ですから、好感、信頼、説得力、影響力、などを気にするなら、顔をきちんと手入れしてください、目元や口元の筋肉をなめらかにして表情をイキイキさせてください、という話になります。加えて、「人の上に立つ人に必須の資質」「リーダーシップの重要な一部」と言われるエグゼクティブプレゼンスには、表情のコントロールも身につけるべきスキルとして数えられます。

適切な表情が意図してできれば、大切な顔というパーツを味方にでき、ビジネス全般で役立つからです。では、ここから表情のコントロールについてお話しをしていきます。

 

できるエグゼクティブの表情

素顔以外の表情を持つ

さて「ワンランク上」「一流」「できるエグゼクティブ」、そんな風に人に感じさせる人はどんな表情をしているのか?ということを、ここからお話ししましょう。

あなたはふだん、どんな表情をしていますか? 「別に普通の表情」と答える人は、それほど「ふだんの表情」を気遣っていないかもしれません。そこに気を使うことが最初の一歩です。

全く気を使わない「素」の表情は無表情なものです。そして、その表情は他者から見ると無愛想と感じる時もあります。ただ、幼いときや若いときであれば、それほど素の表情の印象は悪くありません。皮膚にハリがあり目も輝いているため、無表情は無防備でピュアな感じが伝わるのです。これはそんなに悪くないイメージです。

 

 

しかし、加齢とともに皮膚や筋肉がたるんでくると、まぶたや口角が自然に下がってきます。そのような無表情の状態は、無愛想で不気味、あるいは不機嫌で感性が鈍い雰囲気の表情に見えがちです。これはその人にプラスにならない印象となります。

 

 

ですから、「できるエグゼクティブ」すなわちエグゼクティブプレゼンスを身につけた人は、自分の見せ方としてそのような無防備な表情を隠す、もうひとつの表情を身につけています。

これが、「ワンランク上」「一流」「エグゼクティブ」などの印象を生み出す「アルカイックスマイル」です。

 

アルカイックスマイルとは

 

アルカイックスマイルとは

「アルカイック」はもともと「古代の」という意味であり、発掘された寺院の仏像などが浮かべる表情が連想されることから名付けられています。

アルカイックスマイルはそこからイメージされる「自然に機嫌よく見える柔和な表情」です。かといってニコニコしている訳ではありません。「笑顔」の説明でもお伝えしましたが、始終ニコニコしている必要はありません。極上の笑顔はふさわしい場面で出せばいいので、安売りをする必要はありません。

そこで、アルカイックスマイルは、自然に機嫌良く見える柔和な表情であり、しかも笑いすぎていない、スケール感のある表情に見えるのです。

では、詳しく見ていきましょう。

 

アルカイックスマイルのポイント

ポイントは口角と目です。口角を少し上げて、目をきちんと開いてください。人間は他人の目と口の様子に感覚で反応します。それだけで、素の顔と違う、余裕、品や威厳などが周囲に伝わります。

 

以下のポイントに気をつけながら、鏡を見ながら実際に顔に浮かべてみましょう。

●口元に少し力をたたえるイメージで口角を少し上げる

●笑うまではいかない、ごくわずかにほほえんだ表情

●目をきれいに開くことが基本

この表情がエグゼクティブクラスに必要なのは、精神的な安定や機嫌の良さが周囲に伝わる表情だからです。それが「余裕」という印象を与えるのです。

また、無頓着な素の表情がややもすれば弛緩や油断を感じさせてしまうのとは対照的に、精神的に引き締まった様子も表現することができます。

ポイントは目をしっかり開けておくことを意識することです。場合によっては目も少し細めにして柔らかく微笑んだ雰囲気もいいのですが、いつもそうでは「タダの良い人」の印象になりがちです。柔らかめのアルカイックスマイルとキリッと目を見開いたアルカイックスマイルを区別して使い分けましょう。

 

 

毎日の習慣にする

今後、あなたのふだんの表情は、この「アルカイックスマイル」にしてください。この表情を身につけ、習慣化しましょう。

鏡で自分の顔を見ながら、素の顔から 口角をほんの少しだけ上げ、目を明るく開いてみてください。自分の顔に余裕やエネルギーを感じられるでしょう。口元、目元にほんの少し力を加えるだけで、印象は変わります。

 

「良い人」だけではない、大胆さや凄み

 

ビジネス先進国のエグゼクティブは、「アルカイックスマイル」を自然に口元に浮かべています。少なくともビジネスシーンでは、この表情を常に選択しようとします。

しかし、多くの日本人トップは表情に無頓着で、無防備に口や目が緩んだ顔や、頑固そうにへの字口にした表情になりがち、 または、笑いすぎで親しみはあるが威厳がないイメージになりがちです。

例えば、有名なスティーブ・ジョブス氏の半生を描いた書籍の表紙でジョブス氏がしている表情を見れば、「落ち着き」と共に大胆で堂々とした雰囲気を感じ取れるでしょう。この表情がアルカイックスマイルです。

もちろん、これは男性だけの表情ではありません。女性にもこの表情は必要です。この表情がエグゼクティブプレゼンスを感じさせるための土台となるのです。

例えば、女優さんでも、メディアでのアンケートで「上司にしたい女優」などで上位に上がってくるのは、ハーフスマイルも魅力的ながら、アルカイックスマイルをきちんと浮かべられる方ばかりです。表情の使い分けが肝心です。

優しい笑顔は人間関係の上でとても良い潤滑油ですが、ニコニコしているだけでは、侮られてしまうこともあります。機嫌の良さだけではなく頼りがいやワンクラス上の憧れを感じさせる人のほうがある種の「凄み」を感じさせ、影響力を持ちやすいのです。

 

人に安心を与え、心からリラックスしてもらえる笑顔を持つと素晴らしい武器になります。ただし、アルカイックスマイルのような表情も手持ちとして持っておく必要があります。

アルカイックスマイルは、はっきりとした笑顔ではなく、堂々とした大胆さや「凄み」まで感じさせる表情です。そして佇まいに、柔和さ、余裕も加えます。アルカイックスマイルは必ず身につけてください。