自分にとって望ましい表現ができるように、ぜひ、表情の見直しと適切なコントロール方法を覚えていってください。そのための大切な3つのポイントをお伝えします。

 

 

 

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■ビジネスの9割は表情?(時間 03:55)

 

■表情の3つのポイント1(時間 07:29)

 

■表情の3つのポイント2(時間 04:29)

 

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■ビジネスの9割は表情?(00:00〜約03:55)

■表情の3つのポイント1(約03:56〜約11:24)

■表情の3つのポイント2(約11:24〜約15:53)

■表情の3つのポイント3(約15:53〜21:09)

 

TEXT

ビジネスの9割は表情?

 

あなたは「非言語コミュニケーション」という言葉をご存知でしょうか。

非言語コミュニケーションとは、非言語メッセージ、つまり声の様子や外見、視線、表情、呼吸など五感で感じる言葉以外のすべてで行われるコミュニケーションです。

人間同士のコミュニケーションは言語による割合は10%もなく、あとの90%は非言語メッセージによるものだとわかっています。人間は生まれた時から非言語によるコミュニケーションを無意識に学習し、習得します。12歳ごろまでに周囲がもつ非言語メッセージのほとんどを習得しているという調査結果も出ています。

その結果、人間は「言語メッセージ」と「非言語メッセージ」が矛盾する場合は、圧倒的に非言語メッセージを信じる傾向にあります。(引用:MaCroskey & Richimond 1996, 2002)

特に「表情」は非言語コミュニケーションの中でも非常に重要と言われています。なぜなら、ほとんどの人間が普通、コミュニケーションに際して見るのは人の顔だからです。

「ビジネスでの成功の90%がコミュニケーション能力である」と有名なビジネスコンサルタントであるブライアン・トレーシーは言いましたが、さらにそのかなり大きな割合を表情が閉めていることになります。

それにもかかわらず、表情を軽視し、コミュニケーションにおける表情の重要性に気づかない人は、コミュニケーションの中で、自分では伝えたくない情報を相手に伝え、逆に伝えたいものをうまく伝えられずに不利益をこうむる可能性が高いでしょう。

そして、逆に自分の表情を大切にし、コントロール方法を覚えることは、自分にとって望ましい表現ができるようになることであり、そのことが社会で相互理解をしていく上で自分にとっても周囲にとってもとても利益のあることだということがわかります。

ぜひ、ご自身の表情の見直しと適切なコントロール方法を覚えていってください。ここでは、その見直しとコントロールに大切な3つのポイントをお伝えします。

 

表情を良くする

 

人として人を惹きつける魅力ポイントは、あなたが持つ身体的な要素にあります。その要素の中でも重要なひとつが表情です。「顔」の魅力を考えるとき、多くの人が「造作」、つまり元々の顔立ちのことを思います。

もちろん、顔立ちが良いことに越したことはありませんが、表情の良さは生まれつきの顔立ちさえ凌駕するものです。その理由は、人の心理に働きかけるのは、顔のパーツ一個一個ではなく、顔の筋肉の動きを加えた総合的な顔の印象であるからということがひとつ、もうひとつは、魅力的な表情を顔に浮かべていれば、元々の造作もそれに沿ってシェイプアップされるからです。

男性女性に関わりなく、人間的な魅力を身につけるなら表情を良くすることです。ちなみに「表情を良くする」とは以下のこととお考えください。

 

1. たたずまいとして品や余裕のある表情を備える

2. 豊かな表情ができるなめらかで素直な表情筋を手に入れる

3.その時の意図や表すべき感情に合致した表情ができるようになる。

 

 

コントロールに大切な3つのポイント

 

この章では、表情を良くするための3つのポイントを説明します。このポイントを見直すだけで、顔つきがかなり変わる方もいるので、「顔が変わる3つのポイント」と言うこともできます。鏡を見ながら、しっかり見直してください。

その3つとは、「アゴ」「目元」「口元」です。

 

 

アゴ

 

アゴに重みを持たせ、安定させる

比較的人に見られる仕事やポジションの人にとって、表情の一部として気をつけたいのはアゴです。「上に立つ人の資質「リーダーシップの重要な一部」であるエグゼクティブプレゼンスの第一歩と言えるでしょう。

アゴの角度や動かし方は非常に重要です。なぜなら、そこに威厳や重み、知性などが現れるからです。ひと目見て「できる」「隙がない」と感じる人は、アゴがしっかりと締まり、安定した重みがあります。

ですから、まず気をつけるべきは、アゴに重みを持たせ、いたずらに動かさないように安定させることです。

アゴの軽さは幼さや弱さが出やすい

 

アゴに重みがなく、浮いたりふわふわと軽く動く人には、どうしても「重み」や「威厳」「知性」などリーダーらしいイメージは結びつきません。

アゴが浮いたり軽く動く人は、頭部自体が安定しません。そのような人は、歩くときや動くときに頭がふわっと揺れてから動作が始まることも多く、そのような場合は、動作の印象全体に良くない影響を及ぼします。

本当にそうかどうかは別として、アゴの軽さはその人の弱さや幼さを表します。人に相対したときに、自信がない、相手のご機嫌をとりたい、という心理があると、どこかで相手を伺うような、へつらうような動作が無意識に出てしまうからです。また、「アゴが軽い」「頭が先に動く」という人は、心理的にも幼さを残している可能性があります。可愛いと思ってほしい、幼く無垢に見られたい、という心理が、頼りなく庇護心をかき立てるような動きとして出るからです。

そのようなときに人は首をかしげるような動きをします。それが何度か角度を変えて行われると、アゴが軽くふわふわと揺れ動くような動きになるのです。

自分は大丈夫、と思うのは早すぎます。実は自覚がないまま、アゴの軽さが目立つ動作が顕著で、それが原因で印象を下げている人は少なくないからです。

心理からの影響は、無意識です。アゴの軽さや揺れも無自覚に現れることが多いので、もしあっても自分でわかることは難しいことです。もし、可能であれば、知人からのフィードバックをもらうか、自分がふだん誰かと会話しているときに、自分の様子を鏡で見てみるか、動画を撮ってもらって確認してみましょう。

まずは、ここからの内容をよく確認し、日常的に気をつけてください。

 

アゴに重みを持たせるイメージワーク

簡単にアゴに重みを持たせることができるイメージワークを行いましょう。

まずアゴの先にオモリを下げているような想像をしてください。 重たくて自然にアゴから下に落ちていきそうな想像です。自然に頭が下に下がるのを感じていただけると思います。

そのアゴを支え、上に引き上げましょう。頭を引いていきます。後頭部から首の後ろの力で、頭を「斜め後ろ・上」に引き上げてください。

アゴにはオモリがついたままなので、重たいはずです。容易には動かせません。そのように想像していただければ、自然にアゴが引き締まった状態になると思います。

いかがでしょうか。このイメージワークでアゴに重みがあるイメージをキープしてください。

このイメージがキープできていれば、フラフラと頭が動かず、人のほうに顔を向ける時なども比較的ゆったりと重みのある頭の動きになるはずです。

自然にアゴが安定するようになるまで、朝などに鏡を見て、エクササイズとしてこのイメージワークを行うことをおすすめします。

 

アゴを理想的な角度にする

アゴの重みや締まり方は、人の持つ雰囲気に大きく影響します。重みを覚えたら、次はアゴが締まって見える角度を身につけてください。

アゴの理想的な角度は、首がまっすぐ伸びた姿勢の良い状態が前提です。その首に対してアゴが直角になるような角度を意識してください。

その状態で鏡を見たときに、自分の目を自分がまっすぐ見るアゴの角度を感覚で覚えましょう。自分をまっすぐ見ているときは、黒目と白目がバランス良く見えているでしょう。また、口角が下がっているとアゴが浮いた状態になっていますので、それも合わせて確認してください。

アゴを回転させてはいけない

さて、ここでは「アゴを引く」というときの動作にも注意してください。注意していただきたいのは「アゴを引く」は「アゴを下に回転させる」ことではないと言うことです。

アゴを引くことは、頭を斜め後ろ上に引き上げることです。しかし、多くの人は、頭ではなくアゴの部分だけを回転させるように下にしまいこんでしまいます。これでは、上目遣いになってしまって、品のない表情になってしまいます。ひどい二重アゴになってしまうのも気になります。

その点、頭を「斜め後ろ・上」に引き上げるようにすると、それだけでも品や威厳がある様子になります。

アゴの重みの出し方、角度、アゴの引き方のポイントをご理解いただけましたか? 日本舞踊やバレエでは、アゴの重みや落ち着き、角度などはかなりしっかり指導されます。習ったことがある方もいるでしょう。アゴが落ち着いていると、人に見られるために必要な美的で品がある様子が生まれるのです。

 

目元

 

目を開ける・目元を引き締める

人同士が相対したとき、ほとんどの場合自動的に相手の目の周辺に注意が行きます。また、目はコミュニケーション開始の合図を送る機能があると言われています。それだけ重要性がある要素なのです。目元はパッと見た魅力にも影響しますが、人の心理に働きかける、人間としての魅力を左右します。

しかし、日本人は目を使いコミュニケーションする習慣が今まで比較的少なかったと言えます。そのため、自分が持つ目の魅力を利用しきれていない方はかなり多いのではないかと思います。

まず覚えておいていただきたいのは、目はほっておくと加齢とともに開かなくなります。また、目の表情は乏しく、印象が弱くなり、表情に魅力がなくなります。加齢により目元の筋肉が自然に緩み、まぶたがたるんでくることや、筋肉を動かせなくなることからです。そのため、意識して目を開いたり、目元の筋肉にハリを出すことで、印象は格段に良くなります。

 

まず目を開ける

あなたの目はちゃんと毎日開いていますか?人の目はあまり意識しないと加齢により皮膚も筋肉も緩んで下がってきます。毎日目を使ってしっかり気持ちを表現できていない人は、目をしっかり開けることがだんだん少なくなり、自然に半開きのトロンとした目つきになります。

ですから、ほとんどの人は目をしっかり開けることを意識しただけで表情が変わります。まずは意識して目をはっきりと大きく見開いてください。

もっともっと、できる限り。もう限界、というところまで目を見開くのにどれくらいかかりましたか? すぐに限界まで見開くことができた人は、普段からしっかり開けることができていると考えられますが、もし、何段階も経て開けていかなければそこまで開けなかった、というのなら、だいぶ目の表情で損をしていると言えます。

鏡を見て、目をしっかり見開いた自分の表情を見てください。普段の顔と印象が違って見えるなら、これからは「目をしっかり開ける」ということを意識してください。

なお、理想的な目の開き方は、正面から見たときに目の虹彩(色がついている部分)にまぶたがあまりかかっておらず、瞳に丸い光が見えるような状態です。鏡で確認し、その感覚を覚えてください。

 

眼輪筋を鍛える

また、眼輪筋つまり目の周りにあり、目の表情の動きに大きく関わる筋肉を鍛えましょう。筋肉は使わないでいると弛緩し、やせ細ります。また、ふだんあまり意図的に動かしていなければ、動きづらくなります。しかし、筋肉は鍛えることができ、鍛えることによって、ハリが出て動かしやすくなります。「眼輪筋」も同様です。目元の筋肉にハリが出て、動かしやすくなれば、それで表情がイキイキと活力がある魅力的なものになります。

今まで目の表情や目での表現を意識してなかった方は、簡単なエクササイズを始めてください。エクササイズのやり方は別の章でご案内します。

口元

 

引き締め・なめらかな動きが大きく人の魅力をアップ

顔のパーツは大まかに言えば、目元と口元が2大巨頭と言えます。口元の様子も人の印象に大きく関わり、また「締まり」と「筋肉」がとても大きな役割をします。

ふだんから口元を軽く引き締める習慣があるか、ないかだけで、印象はまるで違います、また、口元は感情の微妙なニュアンスを伝え、表情を豊かにするパーツです。口の表情を動かす筋肉をなめらかにすれば、それだけで魅力がアップします。自分の口元が示す表情を意識し、知性が表現できるよう整えましょう。動きをなめらかにして表現力を高める準備をしましょう。

 

口元を締める

まず気をつけたいのは、ふだんから「口元をきちんと締める」ことです。口元が少し緩んでいるだけで、知性という印象の大部分がなくなります。日頃「軽く見られてしまう」と悩む人のほとんどが、口を結んでおく習慣がなく、軽く開けている状態を普段の表情にしています。このような状態は「だらしない人」と感じさせる要因でもあります。逆に口元が引き締まれば、知性や意志の確かさを感じさせ、その人自身も引き締まって見えます。

試しに口元を引き締めてください、と言ったら、あなたの口元はどのようになりましたか? 鏡を見てみてください。もし、歯を食いしばったり、口角を押し下げた「への字口」のような表情になっていたら、間違いです。

口元引き締めるには、上唇と下唇を合わせ、合わせる力を少しだけ入れてください。

感じがつかめない人は、上唇と下唇だけでお箸を一本くわえてください。唇だけでお箸を支えてみてください。落とさないよう、上下の唇を合わせる力に少しだけ力を加えてください。感じがわかると思います。

口角を上げる

口を引き締めたら唇を少し横に伸ばすようにして口角を少しだけ上げてください。口角は、顔の表情に非常に大事な部分です。あなたが怒りや不満や悲しみや辛さを表現したいとき以外は、口角は上げるもの、と覚えておいてください。

少しだけ上がっている感じだけでいいのです。それがあなたの表情に品や落ち着き、余裕というニュアンスを加える要素になります。

口元の筋肉をなめらかにする

目と同じく、加齢によって口元周りの筋肉もだんだんと力がなくなり下がってきます。そのまま放っておくと、当然口角も下がります。

そのように弛緩した顔は、生気がない表情、不機嫌な表情、知性が感じられない表情になります。また、なめらかに動かなくなるため、いざ笑顔など魅力のある表情をしようと思ってもできなくなります。

今まであまり口元の表情を意識したことがなかった方は、口元の表情に関わる「口輪筋」のエクササイズをしてください。エクササイズを続けると、筋肉ですから2週間くらいで変化があらわれはじめ、3ヶ月も続けると表情が豊かに、顔つきが今よりも魅力的になります。

口元のエクササイズも別の章でご案内します。  

いかがでしょうか? 表情を良くするための3つのポイントは分かりましたか?

この章でお伝えした、アゴ、口元、目元は、これから常に意識してください。顔が引き締まり、魅力的になります。そして、意識しなくても自然にそのあなたの顔の魅力そのものになるのに、それほど長い時間はかかりません。ぜひ今日から意識を始めてください。