一流の人間、自然に上にいく人間はあるマインドを持っています。それが「上に立つ人の資質」「リーダーシップの重要な一部」であるエグゼクティブプレゼンスの核となります。まずそのマインドを最初に自分の中にセットしてください。

 

 

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自分の人生の当事者であること

 

一流の人間や自然に上に行く人間の特徴は、見た目のレベルや存在感、行動力や熱量など、普通とされる人から見ればおいそれと真似できないように見えます。しかし、そこに明確な違いがあるとすれば、「自分」を生きているか、「普通」を生きているか、です。

「自分」を生きている人は、自分のあり方に対する意識が明確です。つまり自分のビジョンがあり、ふだんの行動はそのビジョンに合わせたものとなります。それに対して「普通」を生きるというのは「こんなものかな」「これでいいかな」と、その都度まわりの状況に合わせるだけで、自分の明確な意図はあまりないと言えるかもしれません。

ただし、ここで言う「自分」を生きるということは、社会と折り合わず自分勝手に奔放に生きることとは異なります。「自分」を生きる人は、自分を見るだけでなく周囲を見ることができるからです。その上で、自分の立ち位置や役割を考え、どうあることが真の意味で自分のためになるのかを自分に問うことができています。

これは「自己認識」、英語でSelf-Awareness と言われるもので、自分で自分の内部の深部に触れるのと同時に、メタ認知(自分を含む進行中の事象を対象として客観的な視点で見ること)をしようとする意思や行動を指します。一流の人間や自然に上に行く人間は「自己認識」のプロセスが一般より進んでいると言えます。

こう説明すると難しいですが、簡単に言えば、自分はどうありたいかをちゃんと考えて、その通りに実行しているということです。つまり、それが「自分を生きている」という意味です。ですから、ぜひ、あなたも「自分がどうありたいか」を明確に意識してください。もうすでに頭の中にある方は今まで以上に明確にし、言語化を試みてください。

 

 

セルフプロデュースの意欲を持つこと

 

自分のあり方を考えられる人は、毎日生活をしていて、どんな自分でいるか、どんな態度で人に接するか、どんな振る舞いをするか、自分の明確なビジョンに沿って自然に自分らしさを「意図」し、「選択」しています。 つまり、自分で自分のあり方を表現しているということ、「セルフプロデュース」を自然に行っているということです。

セルフプロデュースとは「どうありたいかを明確にし、それを実現するあり方を目指す」ということです。

威厳を持つ人間になりたいなら威厳を感じさせる行動をする、エレガントになりたいならエレガンスが滲むような行動をする、と単純に言えばそうなります。自分のあり方のビジョンが明確になるにつれ、「そうあろう、そうなろう」という意欲も強くなるでしょう。ここでは、その意欲をより強く意識してください。

 

 

「義務」ではなく「選択する能力」と考えること

 

エグゼクティブプレゼンスのトレーニングは、開始するにあたって義務感を伴うことが多いトレーニングです。リーダーやプロフェッショナルとしての責任感から始めようと思ってくださる方が多いからです。

そのせいか、「こうしなければならないのか」「これができないと、エグゼクティブらしくないのか」と「〜ねばならない」という観念にとらわれて「自由がない」と感じてしまう人も時々いらっしゃいます。あなたもいつしかそういう考えにとらわれてしまうことがあるかもしれません。

ですから、ここで「選ぶのはいつもあなたである」ことを明確に意識しておいてください。あなたが主体性を持って、自分のために「上に立つ人らしさ」や「卓越した存在感」を示そうと意図するとき、どんな行動や振る舞いを選ぶかはあなたの選択でしかないのです。そこには誰からの強制もありません。

ただし、意図があってもその意図通りに実行する方法を知らなければ、そこで止まってしまいます。先の単純な例であっても威厳を示したいなら「威厳を感じさせる行動には何があるか」を知らなければならないし、エレガントさを示したいなら「エレガンスが滲むような行動ってどんな行動か」を知らなければ自分の意欲を叶えることはできません。そこで必要なのは「そのための行動を選べる」能力です。

どんなトレーニングでもそうですが、あなたが手に入れるのは「選択する能力」です。さらに言えば「最適なものを選択する能力」です。

例えばテニスのトレーニングなら、ボレーもバックも知らなければ打ち返せません。ボレーを手に入れれば、打ち返せるようになります。ボレーもバックもできれば、状況に応じて使い分けられ、攻撃力も増します。

あなたはトレーニングによって「こうしなければならない」という義務感で自分の自由の可能性を狭めるのではありません。選択する能力を高めて自分の可能性を広げるのだということも明確に意識しておいてください。

 

 

あなたはすでに「エグゼクティブ」であるということ

 

どうも私たちは横文字に弱いところがあるようです。その中でも「エグゼクティブ」はかなり威風堂々とした響きがあるのか、「あなたはエグゼクティブ」と言われると「いえいえ、そんな立派じゃありません」と謙遜する人は意外と多く、「エグゼクティブって言い方は、何か偉そうだ」と反感を示す人も少なくありません。

確かに「エグゼクティブ executive」には、「経営者の」「幹部用の」という上級管理職や執行役の意味があると同時に、そのような社会上層部にふさわしい「上級の」「高品質な」という意味もあります。とっさにそんな言葉を聞けば、「自分はそんなに高級じゃない」と恐縮するとか「上から目線のすましたイメージだ」と苛立たしく感じるのもわからないではありません。

しかし、エグゼクティブプレゼンスにすでに関わり始めたあなたは、どう考えてもすでに「エグゼクティブ」です。人から頼りにされ、人よりも目立つポジションにいて、人より責任のある役割を担っている人です。その分、信頼に値する振る舞いや行動を期待され、安心して敬意を感じられるような上質な存在であることも期待されている人です。世界ではそういう人がエグゼクティブと呼ばれ、あなたはすでにそういう人か、もうすぐそうなる人なのです。それをここであらためて自覚しておいてください。

 

 

いかがでしょうか?

ここでは、最初にしておいていただきたい「マインドセット」についてお伝えしました。