ここで説明する要素が「卓越した存在感」「人間として人を惹きつける魅力」のポイント、また「印象コントロールの原点」です。ここからしっかり磨いていきましょう。
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生物的魅力を高める
本能的な魅力ポイント
人から信頼を受け取り、期待感や敬意につなげるのであれば、本能的な心理の働きに配慮した「魅力ポイント」を高めることが最初のステップであり、絶対に必要なことです。
安心や安全が確保できそうな印象を与えるためには、服装やマナーの前に、人間が人間に対して様子を敏感に感じ取る、もっと根本的な部分を魅力的にしましょう。
何よりも磨かなければならない魅力は、あなたが人間として元々持つ魅力です。それは生物として、同じ生物の人間を魅了するポイントです。そのポイントを「生物的魅力」と呼んでください。
それはあなたが持つ身体的な要素です。
最初に磨く身体的要素
身体的な要素で重要なのは、どこでしょうか。
表情や視線は最も大切な要素の一つです。たとえば、にこやかな笑顔はほぼ全世界共通の友好の表現であることが、表情研究で有名な心理学者エクマンの調査でわかっています。また、人の視線の様子には脳の一部が非常に敏感に反応することも、脳神経学者たちが2000年代になってMRIなどを使って行った調査でわかってきました。人間は人間の身体の様子に反応をするのです。
全体の印象は姿勢や動き方から読み取られます。また、動き方いかんで相手がどの程度理性的であるかも私たちは本能的に見定めています。理性的でなく粗暴な印象があれば、それはすなわち私たちの身体ひいては健康や生命に何かしらの危険が及ぶかもしれないからです。
声や話し方も同様に、相手の安全性や信頼度を私たちに伝えます。ここでは「音」としての声や話し方がより重要です。有名な「メラビアンの法則」では、言葉の中身が人間の感情に影響する度合いはわずか7%しかないことが言われており、これは今でも心理学ではほぼ通説として取り扱われています。
生物として、同じ生物の人間に対して魅力をアピールできるのは、これらの要素です。 私たちは自分の姿勢、表情、視線、動作、声・話し方をまず見直す必要があります。そして、肌や髪のツヤなど光沢を帯びることも魅力として有利です。肌や髪のツヤは生き物として一般的に健康な状態を表すからです。
もったいないことに、私たちは自分のこれらの身体的要素にあまり注意をしておらず、そのせいで、もともと持つ魅力を発揮できていない人は大勢います。ほんの些細なことばかりで、それが「魅力」という意識が薄いのです。
特に、日本は意思の疎通がお互いに測り易い文化が長く続いたため、古い考え方に縛られていました。古い考え方とは、「自己表現」「自己演出」は余計なものという考え方です。その結果、活躍中のビジネスパーソンであっても、「自分の魅力表現が苦手またはヘタ」という傾向が海外と比べて強いようです。
日本では「まずは仕事。外見などは二の次」「自分を飾るなんて余計なこと。それより中身が大事」」という人は今でも多くいます。しかし、海外のビジネスでは、仕事もできるのは当たり前、印象コントロールがおろそかでは成功できない、というのが常識です。
「仕事と外見はどちらが大事」という選択の問題ではありません。「どちらも優れている」ことが必要です。ことにグローバル人材になるためには必要なことであり、いまだに「どちらが大事」などと言っていると、世界では置いて行かれてしまうでしょう。
もし、あなたがまだ上の要素に100%自信がないのであれば、とにかくここから始めてください。人として自然に人を惹きつける存在になれます。
では、ここから「生物的魅力」をどんどん高めていきましょう。どれも難しいことではありませんが、「少しの違いが大きな差を生む」部分です。自分を客観的に見ながら、真摯に磨いていってください。