人の感覚に訴えるようなものを身につけるためには、人の感覚に関する知識も必要です。ここからは、まず理解しておくべきことをお話しします。

 

 

 

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理解しておくべき「人の頭の働き・心の動き」

 

あなたが「プレゼンス=存在感」を身につける上で、はじめからきちんと理解しておかなければならないことがあります。これは、エグゼクティブプレゼンスのことだけでなく、広くコミュニケーションや影響力を高めていきたいと思う人なら、必ず理解しておかなければならないことです。それは何でしょうか?

それは、人は「考える」前に「反応」するということです。

 

他の生物と比較したとき人間は「思考し、理性的に判断する」ことができるのが特徴です。しかし、その人間らしい頭の働きの前に、人間の脳はもっと本能的な動き方をします。

人間の脳は、私たちが想像するよりもはるかに多くの情報を五感を通じて取り込み、その情報に反応を返しています。これは自分の身を守るために外界を監視する必要があるからです。

この本能的な反応は瞬時です。例えば、あなたは気持ち悪い虫のようなものを目にして、それが何かを考える前に、ヘタをすると何かを見たという自覚もないままに、急にゾッとしたり、身体がビクッとなったりしたことはないでしょうか。反応とはそのようにして起こります。

思考や理性が働き出すのは、あくまで反応の跡です。「思考」は時間としては「反応」の後になります。しかも、思考や理性は大体の場合、まず感じた本能的な判断や感情などの反応を基にします。反応は思考の大きな部分を支配します。そのことを覚えておいてください。

 

 

 

 

 

「知覚できない意識」=潜在意識が影響する

 

もう一つ、とても大事な情報があります。これを「何となくは聞いたことがある」という人は意外と多いですが、本当の意味を理解できている人は非常に少ないと言えます。ここでしっかりと理解しておいてください。

その情報は何かというと、人の反応は、ほぼ潜在意識というブラックボックスで起こり、人には知覚できないまま人の心理に大きく影響する、ということです。

 

「ブラックボックス」とは、内部構造がわからず出力された結果しか見えないプロセスです。コンピューターにはあまり詳しくない人が、アプリやソフトを日常的に使っていることはよくあると思います。便利にそのアプリやソフトを使っていても、中の演算装置の仕組みとかアルゴリズム、そしてどんなプロセスで処理されているかは全くわかりません。私たち人間の反応もそれと同じようなものです。

人間の反応の場合、ブラックボックスとなるのは人間が持つ「無意識(潜在意識)」です。

私たちの意識の領域は大きく2つあると言われます。自分がある程度知覚ができる意識(顕在意識)と、人間が自分ではほぼ知覚できない無意識(潜在意識)」です。

顕在意識は、人が自覚している意識の領域で、現在の自分自身や周囲の状況に対して直接的に気づいているものです。つまり、人が自分が意識していること、考えていること、感じていることについて意識している部分です。 一方、潜在意識は、意識の及ばない領域に存在する心理的プロセスや記憶、感情、欲求などの総称です。ですから、人が自覚していない部分にある反応はこの領域で起こっています。他に自分では意識できない記憶や感情、欲求などもこの領域に存在します。

そして、顕在意識では思考プロセスが言葉でとらえられることもありますが、潜在意識は言語になっておらず、あっても断片的な記号のような固まりと考えられています。

 

 

 

 

 

よく、「顕在意識は10%、潜在意識は90%」と言われますが、これは潜在意識が人間心理に非常に強い影響を持ち、顕在意識よりも人間の行動や思考に大きく関わっていることを表現しています。

そして、人が自分で気づかないうちに、潜在意識が自分の行動や判断に影響を与えることがあります。また、人が自分の意識していることに基づいて行動している場合でも、その背後には潜在意識に働きかけられる要因がある場合があるのです。 また、人が自分自身をコントロールしようとしても、その潜在意識がその人の行動や思考に影響を与えることがあります。

例えば、「今日は何を食べようか、昨日○○だったから△△がいいな」といった感じの思考を伴う考えは顕在意識で行われます。しかし、たまたまお惣菜売り場を通った後しばらくして理由もなく△△が食べたくなった、といった場合は、潜在意識で、何かを見るか匂いを嗅ぐかして食欲が刺激されたか、△△の美味しさという記憶を急に呼び覚まされた、など言葉にならない何らかの反応があったと考えられるわけです。

 

 

 

 

 

プレゼンスは「潜在意識」に働きかける

 

上に立つ人に必要な存在感や雰囲気「エグゼクティブプレゼンス」は言葉では説明しづらいと言われます。しかし、プレゼンスは、主に人の潜在意識に働きかけ、人の反応に影響反応を起こさせる様子や技術で、それが人の思考や判断にまで影響していきます。

ですから、潜在意識の存在にピンとこない人からすると、重要性が分かりにくい概念でしょう。

潜在意識の存在にピンとこない人は、「身だしなみが多少ダメでも、自分の良さはわかってもらえるだろう」とか、「服装で判断されることなどないはずだ」などと考えがちです。

こう考えるのは、人の判断や評価は理性や思考でのみ行われる、と勘違いしているからです。しかし、そうではありません。私たちはお互いにまず反応しているのです。その判断は私たちが知覚できる領域ではなく、知覚できない領域で行われます。

ここまでを理解し、印象、感覚、感情、など、見えない部分に働きかける力を育ててください。文字通り、人は理屈では動きません。 人を惹きつけるのも、人に働きかけるのも、もっと無意識的、本能的な「反応」にフォーカスしなければ、うまくいかないということを理解してください

 

 

 

反応と思考