人を深く見る力を身につけ、一歩引いて他人だけでなく自分自身を客観的に見られるようにしましょう

 

 

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なぜパーソナリティ分析はリーダーの役に立つのか

 

「心理とコミュニケーション」の章では、人に接するときに知っておきたい「誰もが持つ本質的な部分」について説明しました。説明の中で、他者への接し方の基本原則をご理解いただけたかと思います。

この章は、個々の人の特質=パーソナリティのタイプについての知識とタイプの見分け方を学ぶユニークなステップです。

目的としているのは、他人の思考グセや特有の傾向を把握することによって、「自分と他人は違う」ということの具体的な内容を知っていただくことです。賢者のコミュニケーションを行うには、「自分と他人は違う」ことをよく理解していただくことが必要だからです。これを理解することによって、人を深く見る力が備わり、一歩引いて他人を見るだけでなく自分自身も客観的に観察できるようになります。

他人だけでなく、自身の思考グセや特有の傾向を把握することで、より俯瞰的にものごとを捉えられるようになるでしょう。そのことが、人に相対する時の余裕や落ち着いた態度を生み出します。

また、自分自身をもっと理解しやすくなることでセルフコントロールもしやすくなり、それが内面的な冷静さや落ち着きを与えてくれるようになります。

つまり、パーソナリティ分析を自分のものにすることによって、リーダーに必要な臨機応変なコミュニケーション力、冷静さ、俯瞰的な視点が手に入ります。

 

これまでパーソナリティタイプを学んだ人は、その後こんな感想を言っています:

 

「なるほど、うちのチームを見ていると 確かにそれぞれの傾向の違いがわかり、チームの皆についてより理解しやすくなりました」

「私自身を見て、 確かにこういう風に思いがちだとクセを 実感しました。 自分では当たり前のことが他人から見ると違うと実感し、視野が広くなった気がします」

「顧客と相対しながら、このタイプにはこちらの提案の仕方が効果的かなとスムーズに考えながら対応できるようになりました」

 

 

ぜひ、人の違いのおもしろさを 自分と他人で体感してください。

 

 

 

パーソナリティの意味

 

パーソナリティとは、内面の性質の違いであり、物事に対する反応や捉え方、対応の仕方などです。別の言い方で言うと「個性」となります。

「個性」というと外見的なものをイメージすることが多いですが、内面の違いにこそ個性が出ると言えるでしょう。そんな、人の内面に関心を向けられる人こそ、コミュニケーションに優れた人です。

コミュニケーションに優れた人は、人間関係はもちろん、ビジネスをはじめとするやあらゆる人生の場面で成功しやすくなります。コミュニケーションに長けることは、人に働きかけ、自分が望む結果を引き寄せる能力が高まることであるからでしょう。逆に、コミュニケーションが苦手であると、さまざまな場面でうまくいくものもうまくいかなくなるものです。もし苦手意識を持つのであれば、ここから、人について多くを知っていきましょう。

 

まず、コミュニケーションに優れた人の「違い」を知っておきましょう。そのポイントは3つです。

 

1)相手が受け入れやすい印象・態度・話し方ができる

2)俯瞰的な視点を持てている

3)相手が理解しやすい伝え方が選択できる

 

このうち、1は「印象コントロール」に負うところが大きいと言えるのですが、2、3は、自分から人を理解しようとする能動的な姿勢を持っていることと、相手の感じていることや考えていることについての想像力が必要です。特に3は、人のパーソナリティに関する知見があるかどうかで、差がつくでしょう。

パーソナリティ=人それぞれの違い、がわかれば、「この人にはどういう言い方や伝達手段がより効果的か」が判断しやすくなります。

 

前述のように、パーソナリティとは人それぞれの違いを指します。

そして、パーソナリティを理解するということは、以下の4点を理解するということです。

 

●どこがどう違うのか?

●どんな時に「違い」が影響するのか?

●違いが引き起こすミスコミュニケーションにはどんなものがあるか?

●ミスコミュニケーションをできるだけ減らすにはどうしたら良いか?

 

ただし、これらをパーフェクトに理解するのは困難です。 なぜなら、人の個性は、生まれてからの成育環境、教育、家族や周囲の人間からの刺激、経験、経験から学習したこと、味わった感情、など数えきれないほど多くの要素によって作られているので私たちにはすべてを理解できないからです。 人の違いというのは生まれたときから小さな枝分かれを何万回も繰り返して、作られてきたものですから、そのすべてが理解できないのは当たり前です。

それを少しでも解明しようとする人は多く、パーソナリティについては現在も本当に多くの研究が続いています。実はその中には、私たち一般人が日常でも使いやすい比較的簡単な分類法がないわけではありません。もちろん、人間の違いすべてを把握するのは無理ですが、それらを知って応用することを覚えれば、先ほど挙げた4点について、よりよく把握しやすくなります。

]全ては理解できなくても、わかりやすい違いはしっかり理解しておこう、ということです。それだけでも、相手の情報の受け取り方や、考え方の傾向にカンのようなものが働きやすくなります。何も知らないことに比べてコミュニケーションの質を大きく高めてくれるのです。意欲をもって、パーソナリティの違いを知っていってください。