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聞き上手は相手の話す意欲を刺激し、その人の会話だけでなく発想を助けます。逆にダメな聞き方は相手から嫌われ、会話の進展も望めません。避けたい聞き方を知り、自分を見直してみてください。
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避けたい聞き方
「こんなことを思わせてはダメ」な聞き方
人は会話の時に無意識下で相手の様子をモニタリングし、その態度に反応します。相手のコミュニケーション意欲が減退するような態度を示すと、相手は言うべき言葉を見つけにくくなり、発想もしぼむような閉塞感を味わうことになります。その結果、お互いのコミュニケーションの質は低下します。
その意味で嫌われてしまう「聞く態度」はこんな言葉で表現できます。
「この人、無表情。つまんないんだろうな」→相手の話に対する反応が薄い
「眉根が寄って怖い顔。怒っているみたい」→相手から見てネガティブな反応
「いちいち反論してくる」→「いや」「違うよ」など否定言葉が口癖
「調子狂う。めんどくさい」→余計な言葉や合いの手を入れてしまう傾向
「こっちが話しているのに!」→相手の話に自分の話をかぶせてしまう傾向
自分のふだんの会話を省みて、自身にこのような傾向がないか見直してください。もしも、顧客や上司、部下に対してこのような反応になっていては評価を下げる元です。 この機会に「聞き手としての態度=傾聴の態度」をあらためて整えましょう。
これをやめるリスト
自分では普通に人の話を聞いているつもりでも、相手から見ると「嫌われる話し方」になっている人の例は多いものです。「部下がなかなか報告に来ない」「社員とのコミュニケーションがうまくいかない」など、管理職や経営者が悩む陰には「嫌われる話し方」がどこかにあるものです。
あなたの中にはこういうところはないかをここで確認しておいてください。少しでも思い当たったら、「やめる」と意識してください。
これをやめる① 無反応
「無反応」とは、笑顔などの表情の変化やうなずき、あいづちなどの反応を相手に見せない聞き方です。
企業研修などでは、コミュニケーションのテーマのときに、よく「傾聴の態度」のワークをやります。 このワークでは、二人組みになって向かい合ってもらい、一人は話す役、もう一人は聞く役をしてもらいます。
最初は聞き役に自然に笑顔、うなずき、あいづちを挟んでもらい、会話をします。この時はいつもけっこう話がはずみ、講師が「ではストップ」と言っても、なかなか話をやめてくれないくらいです。
さて、次に聞き役にはできるだけ表情を消してもらい、できるだけうなずきやあいづちもしないようにしながら聞いてもらいます。
そうするとどうなるでしょうか。
話し役の人には、相手の態度を気にしないで普通に話すように言っておきますので、みな最初は普通に話そうとします。しかし、話していくうちにだんだんと顔がこわばり、言葉が出なくなります。聞き役の人がわざとそうしているだけだと頭ではわかっているのに、笑顔やうなづきやあいずちなどの反応がもらえなくなるだけで、そうなるのです。
このワークの後は、どの話し役の人も声をそろえて「話そうと思っても、話が思い浮かばず、口もこわばったようになるので、全く話せなくなる」と言います。 話す相手の反応が薄いと、人は言葉が出しにくくなるのです。自分ではそうするつもりがなくても、身体反応がそうなってしまうのです。
十分な反応は相手への思いやりです。相手に十分にわかる反応を心がけてください。
これをやめる② ネガティブに見える反応
薄い反応と同じく、ネガティブに見える反応も、相手に十分に話してもらうためには避けたいことです。どんな反応がネガティブに見えるかを見ていきましょう。
あまりアイコンタクトをしない
パソコンや携帯に目を落としたり、話している相手にあまり目を合わせようとしないと相手は熱心に聞いてくれている感触は持てません。
視線がチラチラ他に行く
目がつい動くものに反応しやすい人は、視線がチラチラと他所に行ってしまいがちです。悪気はなくても、落ち着かない視線では話す本人は良い気持ちがしません。相手に視線をすえるくらいはコントロールが必要です。
上目遣い
下から上を見上げるような視線は「卑屈」というイメージとともに「不満」「疑問」を感じさせます。 まっすぐ相手を見るようにしましょう。
ふんぞり返って聞く
上から下を見下ろすような視線は威圧感を感じさせ、無表情と同じように相手の話す気を削ぎます。
体を引いている・腕を組む
ボディランゲージとよく言われますが、体を引いていたり、相手に体が向いていないのは「拒否」を感じさせます。また腕を組むことも同様です。これらはクローズドポジションと呼ばれ、心を開いていないことを示します。話す相手にとっては、やはり気が削がれるポーズです。
口角が下がっている
口角が下がっていると、「不満」の印象になります。話しにくくなるのは当然です。
「うそ」「いや」「違うよ」が癖になっている
悪気はないのに、口癖で相手の言ったことを否定してしまう聞き方です。本人にとってはただのあいづちのことが多いのですが、潜在意識でははっきりとした「否定」として残ります。ですから、それを聞いた相手は「いちいち反論してくる、否定してくる」と無意識で感じ、イラつきを感じます。
「話していると、相手の機嫌が悪くなる」「何だかいつも怒らせてしまう」ということがあったら、口癖を見直したほうがいいでしょう。
あいづちが「えー?」「本当に?」と常に疑問形
これも悪気はないのにやっている人が多い態度です。こういう反応をされると顕在意識はともかく、潜在意識で反発を覚えることになります。やはり話す気が削がれる原因です。
あいづちが聞こえにくい
消え入るような声ではあいづちの効果は出ません。しっかりとした声で反応しないと、相手にとっては無表情と同じです。
これをやめる⓷ つい何か言いたくなる
相手がせっかく乗って話をしているのに、水を差すようなことがあると当然相手はやる気を失いますよね。
しかし、ついつい反論し始めてしまったり、「それで思い出したけど」などと余計な話題や自分の話に振って行ったりすると、相手は自分の話をないがしろにされたように感じ、急激にトーンダウンします。
このように人の話を大人しく聞けず、水を差してしまう人は話し好き、議論好きであるだけで、悪気がないことも多いです。しかし、はっきり言って一番嫌われるタイプです。改めない限りは「聞き上手」には決してなれません。
相手に話をしてもらうことにメリットを感じるなら、自分をコントロールするよう努力してください。 まず、相手の話を一通り聞くまで反論は封じること、そして相手の話と自分の話を同じ分量にするよう測ることです。また「相手の話題は相手に主導権を渡す」と意識しましょう。
もし、自分がつい反論してしまったことに気づいたら「話の途中で出過ぎてしまい、申し訳ありません」と謝罪するクセをつけましょう。また、話しすぎてしまった、相手の話題を取ってしまった、というときには「こちらの話ばかりしてすみません。話を元に戻しましょう」とリセットしてください。
いかがでしょうか。このページでお伝えしたことは、これができずに決して聞き上手にはなれないという事柄です。人と接する場面が多い人は、日ごろの会話での態度を念のために見直してください。