「知っている」と「できる」は違う。自分の「レベル」を冷静に判断しましょう。
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難易度の差はあるものの、学ぶことすべてには段階があります。何かのノウハウについて「知った」ことは必ずしも「学んだ」とイコールではありません。
しかし、「知った」=「学んだ」と思い込む人は多く、そのことでせっかく何かを学ぼうとした機会が自己満足で終わってしまうこともあります。
あなたは上に立つ人です。後輩や部下の成長に関わり、学びを手助けすることの機会も増えるでしょう。あなたがここまで学んできたことの学びの段階「学習レベル」を知り、自分が今どのレベルにいるかを冷静に判断してください。
レベル1
このプログラムに限らず 何かを学びはじめたときのことを 思い出してください。 最初は「知らないからできない」状態です。 「知らない」ことさえ「知らない」状態です。 これを「⑴無意識的無能」と言います。
レベル2
学習が進むと 知識だけは習得していきます。 ですから何かを「知っている状態」にはなります。 しかし、 その知識をまだ応用できない、 日常で使いこなせない、 というのなら 「知っているができない」レベルです。 この状態を「⑵有意識的無能」と言います。 意識はあるけど行う能力がない、ということです。
(テニスであれば、 どのようなものが理想的なサーブの打ち方か知っているが、 試合の時にちゃんと思い出せないとか 体が理想通り動かない状態ですね)
レベル3
常に意識し、 日常で実際に試みたり何度も復習したり、 といったことでだんだんと細部が意識に浸透し、 体も実際に動かせるようになります。 ただし、 「あ、こうするのだった」と意識した時に できるくらいです。 この状態が「⑶有意識的有能」と呼ばれます。 まだ身についたとは言えず、 思い出せばできるが、頭や体が自然に動く、 という状態ではありません。
(サーブがだいぶ上手く打てるようになったが、 大事なポイントはよくよく思い出そうとしないと思い出せず、 また自分の動作に活かせる回数が少ない状態と言えるでしょう)
レベル4
学んだことを思い返し、くり返すうちに だんだんと「考えずにそうしている」ことが多くなります。 いつのまにか身についているのです。 自分ではあまり気がつかないでいますが、 以前と比べると明らかに「進んだ」状態です。 学習成果として理想的な状態と言えます。 これを「⑷無意識的有能」と言います。
(理想的なサーブのポイントは頭に入っていて、 それに従って体も自然に動く感じですね)
レベル5
さらにもう一段階進んだ「⑸無意識的有能+有意識的有能」 というレベルがあります。 このレベルにある人は、 自分が何もない状態から何を身につけたか、を 明確に把握できています。 ですから応用も可能であるし、 内容を発展させることもできます。 あえて「学習成果を使わない自分」を選択もできるます。 もちろん「使う自分」を選択した時は 自然に使いこなせる、という状態です。
(ベテランテニスコーチが 「君のサービはこう打っているからダメなんだ」と 下手な人を真似した打ち方をしたり、 「ここでは手首はこう…」と詳細に教えたり、 ということができるのと一緒ですね」
さて、あなたがもっと高いステージを目指す時は、 このレベル5の状態を目指すことになります。 これはエグゼクティブプレゼンスに限りません。 どんな学習もそうなのです。
あなたは今、どのレベルにいますか?
ここまで、学んだことを覚えていますか? そして、あなたは今どのレベルにいるでしょうか?
もし、あなたがエグゼクティブプレゼンスの「印象コントロール」について学び、次はさらに深い、「コミュニケーション」や「人間心理」に関わることを学んでいくなら、印象コントロールについては少なくとも「レベル3」までは 目指していただかなければなりません。
「⑶有意識的有能」つまり、だんだんと「すべきこと」の細部が意識に浸透してきて、 体も実際に動かせるようになった状態です。「このときは、こうすべきだったよね」「こうすればいいのだったよね」と思い返せばできるようになっています。「以前よりちゃんと身についているな」とある程度自分で実感できるようなレベルでもあります。
印象コントロールは 「表現力」「自己演出力」に関わることです。 あなたが日常でプレゼンスを発揮するための リテラシー(読み書きなど学習するための基本能力)です。コミュニケーションにおいては主に非言語コミュニケーションのための必須スキルとなります。「知っている」だけでなく、「できる」ことが必要です。
表情や視線、動作等、自分にあるもので表現できる能力がなければ、この先コミュニケーションや心理学的テクニックを知っても、そのほとんどの効果を発揮できません。
実際、高度な心理学を学んでも実生活に落とし込めない人は多くいます。その理由はやはり自身の表情や視線、動作などを用いる能力が不足しているために頭で知っていることを実際に使えないからです。
ここをよくご理解いただけないと、コミュニケーションや心理のことを知ったとたんに印象コントロールとして学んだ意識や行動を忘れがちになります。
印象コントロールで学んだことが自在に使えるよう、実践を忘れず、この先も自分の学習レベルを上げていってください。