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色彩心理学を知っていますか

 

できる人は使っている「色の効果」

 

色彩心理学とは、色が人の心理に及ぼす影響の研究です。研究結果はすでにビジネスやセラピーでよく利用されています。

色は光によって変化します。光は網膜を刺激しますが、その網膜への刺激と知覚された色彩の情報は脳に伝わり、「潜在意識」に影響を及ぼします。

この場合、 潜在意識が感じることは、顕在意識での「きれい」「似合っている」「素敵な色」という感じ方とは違います。

例えば、 赤い壁の部屋と青い壁の部屋では、中にいる人の呼吸や脈拍数、血圧に差があり、それを比べると、赤い部屋のほうが実際に身体が暖かく感じ体温が上がった、という実験結果もあります。

食欲を増すのは、赤系の色合い。ですから飲食店ではよく店内やロゴに赤系の色を使います。一方、病院などは清潔、整然とした環境を作るために青系の色を使うことがよくあります。平和や協調を謳う団体のロゴは緑や茶を使うことが多いですね。

このように、それぞれの色が持つイメージはよく研究され、誰でも何となくわかっていることも多いですね。  

 

 

色が示すイメージや心理を知る

 

色が持つ意味合いを簡単に一覧にしてみます。

: 野心的 興奮作用、覚醒作用

オレンジ: 社交的でオープン 陽気

黄色: 人好き ユーモア

ピンク: 愛情 共感

ピーチ: 親切 優しさ

: 平和的 調和的

ダークブルー: 知的 責任感 誠実

: 落ち着き 安定

グレー: 受動的 重み  

 

血流の促進や体温の上昇などを促す、色の「熱感」。それと協調性が感じられる色、反対に孤高のイメージを出す色、で色を分類すると、下図のようになります。  

 

   

 

これをご覧になれば、場面によって自分の意図を助けてくれそうな色、反対に選ぶべきではない色が何となくわかるのではないでしょうか。

毎日このような効果を考えて身に付ける色を選ぶ、というのはさすがに大変ですが、大事な会合や注意が必要な場面では気を配るようにしてください。  

 

 

作用と場面で考える色選び

 

  色は人の「無意識」に訴えかけることがあります。ですから、相手への作用に注意しなければいけない時は、使う色に配慮が必要です。  

 

謝罪に向かない色

例えば、人に謝罪に行かなければならないときは、「赤」が向かないことはわかると思います。 相手をエキサイトさせてしまうようでは、謝罪が届かない心配があるからです。男性のネクタイでも、女性のジャケットやバッグでも、赤は避けるべき色です。  

では、どうするかというと、そんなときは、誠実なダークブルーのスーツに重みや受動的のグレーを(それもダークなグレー)ネクタイで組み合わせることで相手の気持ちを静め、謝る側の沈痛な思いを伝える、という工夫が考えられるのです。  

 

熱意を伝える色

逆に「今日はガンガン押していこう」というときは、赤を組み合わせることを考えていいでしょう。 そろそろ決まりそうな交渉事やパワープレゼン、あるいは同じ立場の人と集まって競うようなときは赤が持つイメージが役に立つはずです。

合衆国大統領の選挙は、ほとんどの候補が判で押したようにネイビーのスーツ、白いシャツ、赤いネクタイの3点セットで最終局面に臨むのが知らせています。 これは「誠意・誠実のネイビーで、くもりのない心を白で、熱情やたぎる思いを赤で」印象付けるためと言われています。

皆が同じことをやっても効果がないのではないか、と思ってしまいますが、未だに続いているのは、一定の効果があるためでしょう。  

 

 

色に込める意図

他にも、あまり押しすぎると、相手が引いてしまうかもしれない場面であれば社交的でオープンなオレンジ。 目立たずいい人で徹したいならブラウン系のスーツと緑系のタイやスカーフ。

同じダークスーツでも誠実さを前面に出したいならネイビー、安定感や老練さを感じさせたいならダークグレーです。

例えば先輩が後継の後輩を顧客に紹介するなら、後輩はネイビーで誠実な姿勢を強調し、先輩は安定感や経験値を感じさせるダークグレー、という演出ができますね。 こんな風に考えることができます。  

同じ「赤、緑、青」と言ってもパーソナルカラーによって合う、合わないがありますから、あらかじめ自分に似合う色系統で選んでおくことが大切です。    

 

 

今日はどんな色がいい?

 

今日はどんな色を身に着けようか・・・それには今日がどんな日なのかを考えて決めるとよいでしょう。どんな心理、感情を合う人に感じさせたいかが選択基準です。

強調が大事な日、強さを見せたい日、理性的なほうがいい日など、色が他人に与える印象や自分にもたらす心理的効果を頭の隅においておくと、判断がつきやすくなります。 大事な時には、男性はスーツやネクタイ、女性のはスカーフやインナーなど「色による心理」も少し頭に入れておきましょう。

ただし、これは「カラフルにしよう」と言っているわけではありません。 ビジネスでの色の考えかたは「一柄二無地」そして「使用する色は二色、多くて三色」とご説明しました。また「自分や場面にふさわしい色と柄の格」をまず選択することが重要です。  

しかし、その中で 「『利かせ色』をちゃんと考えたい」 「場面や相手によってさりげない演出をほどこしたい」 というときのために「色による心理への影響」を意識をしておいてください。   「今日は、どういう色がいいのか」を戦略として考えましょう。  

 

 

いかがでしょうか。筆者の個人的な思い出ですが、以前上司だった人は自分のロッカーに何本か色違いのネクタイを入れておき、会う相手によって色を変えていました。例えば、初対面の人はネイビー、女性に対しては優しいピンクなどです。忙しいときはそのような細かい対応は難しいですが、今日は誰に対してどんな印象を与えるかを考えた色選びは必ずビジネスにも良い効果があるはずです。