ビジネスパーソンが成功したいなら、優れた知識やスキルだけでなくエグゼクティブプレゼンスも欠かせません。その詳しい理由をお伝えします。
TEXT
あなたにエグゼクティブプレゼンスが必要な理由
少しの差が役立つ武器になる
ビジネスにおいて成功するためには、優れた知識やスキルだけでなく、エグゼクティブプレゼンスも欠かせません。
エグゼクティブプレゼンスとは、ビジネスシーンでの印象や信頼性、プロフェッショナリズムなど、リーダーシップを発揮するための重要な「存在感や雰囲気」です。それは、たちまちあなたの武器になります。
例えば、プレゼンテーションを行う際に、自信に満ちた親しみのある態度が、最初から人を惹きつけます。「しっかりした良い話が聞けそうだ」と自然に聞き手に期待させることができるのです。また、落ち着きのある声で、分かりやすい話し方をするあなたは、その期待を裏切ることなく、最後まで聞き手を惹きつけることができます。
また、あなたがキャリアを積んでいくうちに、企業の面接や商談の初対面で「試される」ことは必ずあるでしょう。
面接を受ける際でも、最初から「知的で経験豊かな感じの人物だ」と思わせる、あなたの様子や態度は、相手のポジティブな関心を惹きつけるでしょう。落ち着きのある理性的な表情、静かな熱意のある声や話し方は、採用担当者にとってバランスが良くプロフェッショナルに感じられます。相手は、あなたが新しいステージでも活躍する様子を容易に想像できるでしょう。そして、結果は良い方向に行くはずです。
商談でも、最初に「信頼できそうな相手だ」「頭が回りそうだ」と思わせ、「自信や品格を感じるな」と感心させることができたとしたらどうでしょう。最初から好意的なムードでスムーズかつスピーディに話を進められる可能性は高くなります。
そんな人を部下から見た場合はどうでしょうか。人の好感を自然に惹きつけ、人からの信頼をたやすく得るようなあなたの雰囲気に、部下もまた感心し、自然に信頼をおくでしょう。そのような人物にリードされ、指示されることを自然に感じ、従おうとするでしょう。また、あなたの振る舞いや話し方を真似したい、いつか身につけたいと思い、自然に自分の未来像を描くようになるでしょう。つまり、部下は自動的に、あなたが自分達のリーダーであることに納得し、未来に向けてモティベートされるようになるのです。
このように、特にビジネスシーンで、好意や信頼、期待、納得感などポジティブな感情を、感覚的に会う人や周囲に感じさせる「存在感や雰囲気」がエグゼクティブプレゼンスです。
その「存在感や雰囲気」は、決して生まれつきのものであったり、偶然醸し出されるものではありません。言語・非言語のコミュニケーション能力、メタ認知力、社会人としての教養力など、「社会的知性」によりもたらされるものです。
そう言うと一見とっつきにくく、難しく思えるかもしれません。しかし実際は、ちょっとした知識、意識の差です。ただし、そのちょっとの差が、一般の人が考えるよりもかなり大きな効果をもたらすと言うことを、まず理解しておかなければなりません。
そこを理解し、あとは知識と意識を蓄え、実践していけば、今まで言ったようにさまざまなビジネスシーンで役立つ武器を手に入れられます。
どこかで必ず必要とされる「資格」である
エグゼクティブプレゼンスは、まだ仕事についたばかりの人やキャリアが浅い人に求められることは、ありません。しかし、それ相応のポジションに就いていたり、仕事や部下などに対して責任が出てきた人間には、本人が気づかないうちに大いに必要となります。その理由は、社会的にポジションを上げていけば、同じ高さにいたところから、位置が高くなっていって、その分あなたを見る人が増え、期待する人が増えるからです。
「エグゼクティブ」という言葉が示すのは、「上に立つ人間」「それ相応の責任がある人間」です。団体や組織の代表的な立場である人、自分の責任で大事な仕事をしている人、役職についている人、部下がいる人、などある程度の社会的なポジション、キャリア、重要な役割、そして何らかの責任を負っている人です。そのような人たちには誰もが、どこか卓越したところを求め、それを「上に立つ人が持つべき資格」であると感じます。それは自然な人間心理です。
ですから、エグゼクティブプレゼンスを期待されるポジションや役割、責任がある人物が、エグゼクティブプレゼンスを持たないことは、「持つべき資格を持っていない」と見なされることになります。それは残念ながら、周囲の気持ちに応えられず、周囲にいたずらに「不適格」という印象を与えることになります。
エグゼクティブプレゼンスは、責任が出始めた誰もが、持つことを期待されるようになる「資格」です。しかも、決して取得の難易度は高くない「資格」です。適切な時期に適切な意識を始めれば、誰にでも手に入れられます。だからこそ、早めに意識し始めるべきものです。
人間的な成長ももたらしてくれるスキルである
エグゼクティブプレゼンスを構成するのは、印象のコントロール力、コミュニケーション力、そして自己認識に基づき自己設計ができているかどうかです。これらを身につけていく過程で、非言語表現力が発達し、また自己や他者に対する洞察力が高まります。これはすなわち、複雑な人間関係を産みやすい現代社会の中で、効果的に他者とつながり行動を起こしていくための「社会的知性」を高めることです。
社会的知性は、一躍知られるようになった現代のビジネスパーソンに求められる能力「EQ(感情的知性)」からさらに一歩進み、社会性、社交性、メタ認知、共感力など、社会の中で役割を全うし、人間関係をうまく動かしていくための総合力として、そう名づけられています。
エグゼクティブプレゼンスは、表面的なことだけでは磨かれません。例えば服装を良くする、マナーを覚えるといったことだけでは、存在感や雰囲気を変えることはできないのです。人々が「卓越している」と感じるには、外見だけでも不足、内面だけでもまた不足で、やはり総合力が必要です。
それは自分の役割や責任を捉え、自分のあり方にビジョンを持ち、どう見せていくかどう伝えていくかということに配慮や工夫を加える必要があります。それこそが社会的知性を伸ばすことになるのです。
エグゼクティブプレゼンスは、ビジネスに必要なスキルですが、それはそのまま人間的な成長を約束するものでもあります。
ここから身につけ、磨いていきましょう
エグゼクティブプレゼンスは、外見の力を上げて印象を良くするだけでなく、人の意識に働きかけ、信頼関係をスピーディに構築することに役立ちます。また、誰もが自然に敬意を持ち、あなたの話に耳を傾けるようになります。説得力を高め、長期的な影響力も高めます。エグゼクティブプレゼンスは人を短期に「惹きつける力」になり、同時に長期にわたって「働きかける力」です。
米国の調査では、92%の人事担当者が「エグゼクティブプレゼンスは、リーダーシップの重要な一部と認識している」と回答しています。あなたにとって、これから進めていくキャリアや自分にとっての成功にエグゼクティブプレゼンスが必要な理由がわかっていただけたと思います。
先に言ったように、エグゼクティブプレゼンスを身につけることは決して難しくありません。しかし、絶対に守っていただきたいことがあります。次の2点です。
●全てをコンスタントに実践すること
エグゼクティブプレゼンスのトレーニングに難しいことはありません。学んだ知識を身につけるには少しずつでも、コンスタントなペースで、実践していってください。
●「成果」に敏感になること。
「このことを知った」、「これができるようになった」「ここが変化した」など、自分の「成果」に気づける人は、どんなトレーニングでも伸びます。気づきが自分の意識へのフィードバックとなり、脳を刺激するからです。自分の変化や手に入れたと感じたものについては、メモや日記など言語化をお勧めします。
エグゼクティブプレゼンスを身につけるべき理由をお分かりいただけましたか?
では、身につけ、高めるプロセスを始めていきましょう。