実際に自分の1分間の自己紹介を作っていきます。自己紹介と言っていますが、あくまで自分自身を印象的に売り込む「セルフプレゼンテーション」を意識して下さい。

 

 

 

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この内容の前に、「エレベーターピッチに習う印象的な自己紹介」で、自己紹介のコツや構成をおつたえしています。まだご覧になっていない方は、そちらを先にご覧ください。

 

 

0.まずはじめに「メタ情報」をまとめてみる

 

いちばん最初にひとつ高い次元から自分の自己紹介を見ることからはじめます。それをメタ情報としてまとめましょう。(ワークシートP1)

「メタ」とは「高次元の」「超越した」などの意味を持ちますが、ここでは、「自分の自己紹介で何を目指すか」という最終的ゴールについての考え方です。

これをもとに逆算するように考えれば、「客観情報」「バリュー」「出口」それぞれがバラバラにならず、ストーリー的な流れであなたが伝えたいことが聞いている人に伝わりやすくなります。

シートでは以下のことを考えるワークをしましょう。

 

誰が聞く?

聞く相手によって言うことは変わるはずです。聞く人の業界や役職、年代、性別などの特色、そこから違いが出る興味や関心を考えてみましょう。あなたについての情報のどこを強調すべきか、逆になくてもいい情報はどんなものかがわかってくるはずです。

 

何を目指す?

あなたの自己紹介を聞いた人間にどうなってほしいかを考えます。ここでは3つに分けて考えてみましょう。ひとつめは相手に抱いてほしい自分のイメージ(有能だ、楽しい人だ、話しやすそうだ、など)、ふたつめは感じてほしい感情(嬉しい、ワクワク、感心、など)、みっつめはしてほしい行動(自分に話しかける、入り口のチラシを取る、別の部屋に移る、など)です。

 

どうしてそれを目指す?

もともとそれを目指すのはどうしてか? それは何か自分にとって「良いこと」を期待しているからであるはずです。その「良いこと」である理由やメリットは何なのかを考えてみましょう。例えば、「受注が増える」「顔が売れる」「自分をこの場所に呼んでくれた人が喜ぶ」など、期待することを考え付くまま書いてください。自分が描くストーリーがさらに完成し、意欲がわいてくるでしょう。

 

それを目指す意味はある?

上で考えた理由やメリットは本当に自分にとって意味があるかどうか、評価をしてみましょう。本当はほかの理由やメリットがあるかもしれません。

 

 

 

ここまで考えたら、いちばん下から順に上の項目までを見て、それぞれの項目のつながりにひっかかりや矛盾点はないかを点検してみてください。項目の内容が自分で疑問なくスムーズにつながることによって、自己紹介の内容にも一貫性が出てきます。またそれはが自信となるのです。

 

 

 

1.「客観情報」の整理

 

次は客観情報の整理を行いましょう(P2)。

客観情報というのは、氏名、会社名、役職や肩書など、あなたについて客観的に見て言っている情報です。

 

「◯◯株式会社の田中一郎です

企画部マネージャーをしており

この仕事に就いて3年目です」

 

こういったことで簡単そうに思えますが、何を言うかをきちんと考えて準備することが必要であることを前に説明しました。

最初に自分の客観情報を整理しましょう。

 

では、「1 客観情報」のシートの各項目に自分の情報を書き込んでください。思い出せない項目や自分に関係ないと思われる項目もあるかと思いますが、できるだけ全てに記入します。

次にどの情報を使うかを選択して、その項目に○をつけてください。自分の紹介に欠かせない情報を優先して選択します。

ここまでできたら、客観情報パートで言うことをまとめてください。1分間のうち、客観情報は15秒程度(4分の1)程度で話します。15秒で言えるのはだいたい75文字です。それくらいに文章でまとめておきましょう。

次ページのマス目を使ってまとめてください。マス目は全部で75文字です。

なお、話すスピードで言える量は違います。書き上げたら、実際にできるだけ自然なスピードで文章を読んでみて時間を測ってください。15秒以上になってしまうときは情報を絞り、逆に15秒に満たないときは、他の項目の内容を加えてみるなどして調整します。

 

2.バリューを導き出す

 

次にバリューを整理していきます(P4)。

バリューとは、一言で言うとあなたの価値。あなたが人に与えられるメリットです。このパートを端的に言うと、「自分はこういう価値がある人間です。あなたにこういうメリットを提供できます(だから私と知り合ってください)」ということを言いたいパートです。

「自分にそんな価値やメリットなんてない」という考えは間違っていると前で説明しましたね。しかし、この価値やメリットは、あなたが今持つ知識や経験にすでにあるあなた特有のもので、それを見つけてうまく表現するだけのことなのです。

すごいものでなくてももちろん構いません。要は何かあなたを特色づけるものであるだけで十分です。名前や役職をすぐに記憶できる人より、「ああ、あの時あんなことを言っていた人」と記憶している人のほうが多いものです。ただし一方で、自分ではなんとも思っていなくても他人が聞くと驚くようなこともよくあります。

シートにある自分についての質問に答え、ヒントを導き出していきましょう。答えるときは、あまり複雑な文章にせず、単語や短文でメモをする感覚で書き出します。

 

●最初に自分はどんな人間かをひもときましょう(P4)

●次に仕事に関する考えを掘り下げます(P5)

●次に自分のパーソナリティを表すキーワードを選びます(P6)

 

得られた気付きを言語化して、文章に整えていきます(P7)。

最後に、30秒くらいで言えるように文章を作ってみてください。マス目(P8)を使います。この文字数は約150文字です。

 

3.出口をまとめる

 

最後に出口を文章で整えます(P9)。

「出口」とは相手に指し示す「結論」。 相手に対してしてほしいことをいうことで相手の行動を促し完結することです。

15秒くらいで言えるよう、75文字くらいでまとめます。

「0.メタ情報」と矛盾しないよう、確認してください。

 

 

 

これで、ひととおり自己紹介で言うことがまとまりました。

どこでも依頼される可能性が高い1分間の自己紹介です。基本の形として覚え、流ちょうに話せるように練習しておくと、どこでも自信をもって人を惹きつけ動かす自己紹介ができるようになります。

慣れてきたら、「今日はどんな人が来ているかな」「今日はどんな感じの雰囲気に持っていこうかな」と自在に応用できるようになるでしょう。

 

デリバリー(アイコンタクトや表情、声、間、全体の様子などを含めた話し方)の練習も非常に大切です。鏡を見ながら実際の場面を想像しつつ練習してください。