話し手としての最低限の心得をここで理解しておきましょう。
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これだけで失敗する「嫌われる話し方」
人が人の話を聞こうとする時、どんな場であってもその話について何かしらの価値を自然と求めます。プレゼンやスピーチの時はなおさら価値のある内容が期待されます。そのために内容を磨いていくことはもちろんですが、忘れてはならないことは「話し方」です。この「話し方」には話始めの様子も含まれます。話し方によって、聞き手は今から聞く話に期待するかしないかを感覚的に判断しますし、聞いている話を良いと感じるかどうかもその感覚の延長で決まります。
それに気づかず、内容ばかりに注意が行ってしまい、話し方がおろそかになって知らず知らずのうちに聞き手の期待や関心を失う「嫌われる話し方」になっていないでしょうか。以下によくある嫌われる話し方を挙げますので、確認してください。
このような嫌われる話し方をしていると、中身をどんなに磨いても聞き手には伝わりません。気づいたところは今のうちに徹底的に排除しておきましょう。
×自信がない雰囲気や言葉
あなたは自信がなさそうな人から「これ知っておいた方がいいよ」と言われて、真剣に聞くでしょうか。まずそんなことはありませんよね。ですから、避けるべき話し方の第一は、自信がなさそうな表情、態度、所作です。アゴの角度、視線、アルカイックスマイル、姿勢や歩き方、立ち方などに十分に気をつけてください。ちょっとした姿勢の悪さでも印象を損ねます。
また、以下のようなセリフは自信のなさをアピールすることであり最もタブーです。
「あまり大した話はできないんですが」
「私なんかがお話しすべきではないのですが」
これらは自虐的なジョークとして通じることもありますが、それは聞き手から見て話し手がすでに価値のある話ができる人と認識されている場合です。それ以外であれば「じゃあ聞く必要はないな」と、心の耳を遮断されてしまうのがオチです。
×いたずらに威圧的、虚勢をはっている雰囲気
それなら、ガンガン自信たっぷりに話してやれーーーこれはかえって逆効果です。
いたずらに強い口調や、知識をひけらかすような言い方は聞き手からすると話し手の虚勢にしか見えません。中身のない威張った態度は人の反感をあおりやすく、間違いなく嫌われます。誰しも嫌いな人の話は素直に聞けません。
虚勢ではなく、堂々とした自信を感じさせましょう。それには、きちんとした姿勢や落ち着いた聞きやすい声で話し、やわらかい表情や笑顔を随所にいれることに配慮したいものです。
×聞き手を見ない
原稿や、スライド操作用のパソコン画面を見ているだけで、目がちっとも聞き手に向かない人は、想像よりもはるかに早く聞き手から見放されます。
「眼」は相手の関心を引き寄せるために絶対使うべきツールなのです。ですから、非常に有能なプレゼンテーターは原稿や画面をいっさい見ずに済むように、完全に内容を覚えるといいます。
とはいえ、そこまでやろうとするのはかなり困難です。ほとんどの場合、手元原稿やプロンプターを見るのは構いません。しかし、説明して間をとるときや特に大切なことを言う場面では、ちゃんと顔を上げて聞き手にきちんと視線を向けてください。
×単調な話し方
「話しが下手」な人は、ずっと同じトーンの声、同じリズムの話し方、同じ表情、同じ姿勢です。話が要点に来ても、クロージングに来てもずっと同じように手を組んだまま変わらず、動きもありません。例え、内容を丸暗記し、原稿やプロンプターを見ずに話せたとしても、その口調がまるで原稿を無感動に読むような響きであれば、聞き手は早々に話を聞こうとするのをやめるでしょう。なぜなら聞き手が話に集中できなくなるからです。
人は、自分が話さないままで相手の話を聞かされている状態の時では、たった8秒しか集中できないと言われています。聞き手の集中をうまくコントロールできるのは、「話し手からの刺激」です。人は話し手の様子で、集中度を無意識に変え、それによって、話の流れに乗っていくのです。
人を話に巻き込み「聞かせる」には、話し方の抑揚、声のピッチや高低、大きな声と抑えた声、表情の変化や視線、適切な身体の動きが必要です。話をうまくするには、日ごろから話し方の抑揚や表情のコントロール、ボディコントロールは必須です。
×声が小さい、聞こえにくい
発声が弱々しかったり、カツゼツが悪いと聞き手は離れます。先にも言ったように聞き手が集中できる時間は短いですが、聞こえにくいとさらに集中を強いられてしまうため、疲れて無意識のうちに聞くのをやめてしまうのです。また、疲れることにより話し手に不快感を持つこともあります。
本来、人前で話すためには、発声や発音についてそれなりのトレーニングは必要です。少なくとも、腹式呼吸による発声方法や早口言葉などによる基本的なカツゼツ訓練はしておきましょう。
×何だかうるさい
話し手の様子を何だかうるさく感じると、聞き手は話の内容に没入できず、そのまま意識が離脱することがよくあります。
例えば、話の中で「えー」「あのー」が多いタイプや、息遣いが激しいタイプ、やたら手がムダに動くタイプはうるさく感じられることが多いので、気をつけて修正してください。また、元気に話そうとして無理に声を張り上げることもマイナス要因になりますので、正しい発声法を学んでおきましょう。
×話し手としての自覚がない
「人の貴重な時間をもらって、話を聞いてもらっている」という、話し手としての自覚が感じられないような言動や態度は聞き手の反感を招きます。例えば以下のようなことは嫌われます。
・予定の時間をオーバーしても謝罪などのケアがない
・話し手のオーソリティなど十分な説明がない
・話のメリハリがなく、どこまでがイントロでどこからが本題なのかなどポイントがわからない
どれも取るに足りないことですが、これらは聞き手に何となく不満を与え続けることで、地滑り的に聞き手の期待や聞く意欲を失い、「伝わらない」環境を作り出します。それではせっかく準備した内容でも失敗することになるのです。気がついたところはぜひ修正していってください。