パーティに出るには、どのようなことを知っておけば良いでしょうか

 

 

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パーティでの振る舞いの考え方

 

フォーマルからカジュアルまで、 「パーティ」と一口に言っても、いろいろな場面があります。着席のフルコースディナーの形式、立食(ビュッフェ)の形式、欧米風のフォーマルスタイル、日本でよく見られる和洋折衷スタイル。形式のほかにも、目的や場所、自分の立場などでも振る舞い方の判断が変わる場合があります。どの場面でどんな振る舞いを選択すべきか、判断力をあげて適切な振る舞いを選べるようにしましょう。

 

招待状からわかる振る舞い方

 

招待状や案内状に振る舞い方のヒントがあることが多いので、招待状や案内状を良く見ましょう。招待状に記載してあるのは、以下のことです。

 

●会の名称や趣旨、主催者

会の目的や趣旨はトップに記載されていることが多いです。そのほか主催者が誰かも確認しておきましょう。日時や場所だけ確認して、当日何の会に出るかがわからなくなるということが結構あるものです。

出席の場合は特に、主催者の連絡先をしっかり把握しておくことをお勧めします。

 

●日時

日時をきちんと確認するのはもちろん、時間帯によって相応しい服装も見当をつけておきましょう。

 

●場所

場所は当日どう動くかにも関わりますし、またどんな雰囲気の場所かによって選ぶ服装も変わりますので、しっかり確認してください。

 

●ドレスコード

書いていない場合もありますが、気の利いたホストであれば指定してくれていることが多いです。確認しましょう。

 

●返事が必要かどうか

日本語で「○月○日までにご出欠のご返信を賜りたく」などと書いてあるほか、「R.S.V.P,」と記してその下に出欠の連絡の締め切り日が書いてあることがあります。いずれにしろ、きちんと返信をしてください。返信が必要な場合は、先方もしっかり人数を把握したい気持ちですので、スケジュール管理はしっかりしましょう。また、出席の返信をしたが、急に出られなくなった、という場合はその旨を主催者にちゃんと連絡をしてください。

 

 

 

招待状からの判断の仕方は以下にもう少し詳しくお伝えします。

 

 

ドレスコードをチェック

 

どんな服を着ていくべきか、パーティの招待状や案内状にはドレスコードが記載されている場合も多いので、まずそれを確認します。記載の言葉はそれぞれで、「ドレスコード:」として明確に書いてある場合もあれば、さりげなくドレスコードの名称を端に書いてある場合もあります。フォーマルであるパーティの場合は、ドレスコードが記載されているのが普通ですが、「フォーマル/formal」とは表さず、「ホワイトタイ(燕尾服を指す)」「ブラックタイ(タキシードを指す」」などと表現するのが一般的です。詳しいドレスコードは服装の回でご確認ください。

よくあるのは「平服でお越しください」「スマートカジュアル」「エレガント」などです。これも服装の回で着るもののイメージを掴んでおいてください。

しかし、たまにドレスコードの記載がない招待状や案内状もあります。確認するには、パーティの詳細から見当をつける、友人、知人など同行する予定の人と相談する、主催者に問い合わせるという方法があります。パーティの詳細から見当をつけるときは、以下を参考にしてください。

 

●時間帯からイメージ

昼間であれば、ビジネスに近いものか、比較的シンプルなスタイルがふさわしいですが、夜の時間帯は、やや華やかなイメージの服装を考えましょう。

●場所からイメージ

高級ホテルなど格が高そうな場所であれば、昼間ならビジネススタイルかスマートカジュアル、夜であればエレガントを意識した服装がふさわしいでしょう。カフェなどカジュアルな場所であれば、昼・夜ともスマートカジュアルでまず間違いありません。

●形式から

フォーマルなカクテル以外は、比較的早い時間から「簡単な飲食をご用意しています」と記述があるパーティは、ビジネススタイルかスマートカジュアルで大丈夫です。「ビュッフェ」「立食」とあるパーティも同様ですが、時間帯や場所、開催目的によっては準礼装やビジネスフォーマルが必要なことがあります。着席の食事が振る舞われる場合は比較的きちんとした格好を意識した方が良いでしょう。

なお、あなたが何かのパーティの主催者になるときは、案内状や招待状にはドレスコードをきちんと記載しましょう。そのほうが親切であり、会全体の統一感も生まれます。

 

 

空腹具合は形式を見て調整

 

パーティの目的はあくまで交流、場合によっては直接、人的ネットワークやビジネスチャンスを獲得することです。そのため、飲食はあくまでついで、アクセサリーのようなものです。グルメの集まりなど食を目的にしているものは別ですが、パーティの形式によっては、出席する前に空腹でないように調整しておくことも必要です。

パーティの形式は、着席、ビュッフェ、カクテル、などいくつかあります。着席はフルディナーの場合が多いため、ちゃんと食べられるように少しお腹を空かしておきます。ビュッフェは会話や挨拶に忙しいことを見越して、あらかじめ何か少しお腹に入れておきます。また、カクテルパーティはあまり食べるものの用意はないことが普通ですので、前後の予定を考えて、お腹具合を調節することをおすすめします。

 

 

同行者がOKか否か

 

招待状や案内状に「同行者歓迎」という記載がない限りは、招待者以外を同行することができないと解したほうがいいでしょう。

形式によっても同行者が許されるかどうかは違います。着席であると席数や席次があらかじめ決まっているので、招待された人以外は入れないことがほとんどです。ビュッフェの場合は、入れる人数にある程度の幅がありますので、同行が可能なことは多いでしょう。しかし、どのような場合でも「同行者歓迎」という記載がない限りは、主催者に断りなく招待者以外を同行するのは完全なマナー違反です。

勝手に自分の家族を連れて行って受付で騒動を起こした政治家が過去にいましたが、このような行為は自分に許された権限を踏み越えた乱暴な振る舞いで、いろいろな意味で大変迷惑です。絶対にやめましょう。逆に、「同行者お断り」と記載があっても、あらかじめ連絡をしておくことであっさりOKとなることもあります。いずれにしても、同行者についてはホスト側である主催者に確認するべき事項であることを心得ておいてください。

勝手に人数を増やしてはいけないが、減るぶんには構わないだろう、と考えるのも早計です。着席のパーティに夫妻やカップルで招待された場合は、主催者に断りなく1名で参加したりすると席次が狂い、主催者に思わぬ迷惑をかけることがあります。このような人数変更は主催者にこまめに連絡するように気をつけてください。

 

 

形式で変わるスケジュール

 

パーティ前後のスケジュールの入れ方はパーティの形式によって加減してください。着席の場合、全員が揃ってから一斉にスタート、という進行がほとんどなので、遅刻や途中退出はひんしゅくを買う元になります。時間厳守と考えて下さい。また、着席での食事は基本的に途中退席ができません。スケジュール上、時間をきちんと確保しておきましょう。

ビュッフェの場合は式次第にもよりますが、前後の時間に比較的余裕があります。式次第がはっきりしていて、最初に大事な挨拶がある場合は時間通りに出席しなければならないことが多いですが、出入り時間が自由であるパーティは、あまり早く行き過ぎると、時間を持て余したりすることがありますので、少し遅れて登場するのも方法のひとつです。またほとんどの場合、途中退席が可能です。ただし、もしパーティの主客として招かれている場合はパーティの間は動けないことがあります。その点に注意してスケジュールを入れてください。

「カクテル/cocktail」と書いてある場合は、ほとんどが出入り自由で、飲食もごく軽い形式です。主客として招かれているのでなければ、その後ディナーなどを予定しても、まず差し支えありません。

 

 

 

 

パーティでの飲食作法

 

飲食の作法に関しては、着席の着席のフルコースディナーの形式であれば、通常のテーブルマナーで事足りますので、このページでは、比較的ビジネスの場で登場回数が多い、立食(ビュッフェ)形式の基本原則をお伝えします。この知識があれば、欧米風のフォーマルパーティも、日本でよく見られる和洋混合のような宴会も振る舞いを間違えないでしょう。

 

立食パーティマナーの基本

 

先にも言いましたが、パーティの目的はビジネスや社交、出会いであることが多いものです。つまり「食べる」ということは第一目的ではないということです。一流エグゼクティブは、このようなパーティに行く前にある程度「腹ごしらえ」をしていきます。挨拶や会話をしていたら、食べられないことも多いからです。そんな時、お腹が空いていては余裕を持って振る舞えません。ビュッフェパーティはプライベートで食べ放題のバイキングレストランに来たのとは訳が違うことを知っておかなければなりません。

そんな中、立食パーティの食事はお腹を満たす手段というよりは「コミュニケーションツール」として利用するつもりでいてください。例えば、手持ち無沙汰を解消するツールです。話す人が途切れた時間などはポツンとひとりでいるよりは、ビュッフェボード(料理が置いてある台)の料理を眺めたり、自分のお皿に盛ったりしたほうが格好がつきます。また、誰かとの会話が一段落したときは「失礼して料理をいただいてきます」と言えば、自然にその人から離れられます。

 

 

グラスと皿の取り扱い

 

ビュッフェパーティでは、飲み物は常に持って歩き、食べ物は持って歩いてはいけないというルールがあります。

飲み物は入り口や、入り口入ってすぐのカウンターで取ることになりますので、そのまま持ち歩きます。グラスが空になれば、飲み物を持ち回っているスタッフに空のグラスを渡し、新しいグラスを取ります。飲み物を手にしていると、出席者であることが他の人ともお互いすぐにわかることが利点です。

逆に食べ物は持って歩いてはいけない決まりになっています。ビュッフェでは、会場中央などに「ビュッフェボード」という料理が盛られた大テーブルがあり、そこで各自が好きなように自分の皿に料理を取り分けます。そこから会場内の「アイランドテーブル」(各自が使う小テーブル)などに料理を持った皿を持って行くまではいいですが、そこからまたお皿を持って移動するのは良くありません。

 

 

料理の順番

 

取り放題であるビュッフェ料理も食べ方に順番があり、その通りに料理をとっていくのが基本ルールとなっています。ビュッフェボードもその順序に合わせて料理を並べていますが、それに従右ことで、皆が混乱なく料理を取れるという秩序維持の意味もあります。ですから出席者は、この順序通り少しずつ料理を楽しむことが望まれています。途中から割り込んで流れに逆流したり、いきなり寿司やローストビーフなどの「ご馳走」に走るのは下品とされてしまいます。大人の振る舞いを意識しておいてください。

 

順序は下のようになっています。

 

冷たい前菜 → 温かい前菜 → スープ類

→ 魚料理 → 肉料理 →チーズ・デザート

 

つまり、コース料理の流れと同じです。最近ではチーズ・デザートの前にパスタ類やご飯類などを加えることも多くなっています。

 

料理を取る量に気をつける

 

ビュッフェボードで料理を取るときは「少量ずつ、バランス良く」取ることが鉄則です。「山盛り」は絶対にしてはいけません。多くても3〜4種類くらいを少しずつ盛りましょう。目安は、誰かと会話をしながら簡単に食べ終えられるくらいです。アイランドテーブル付近で料理をいただきながら、そこで会った人と会話を始めます。会話が終わった時点で、料理もだいたい食べ終わっているはずですから、料理を取りに行くという理由でその場を離れるとスマートです。

 

 

 

お皿を使い回さない

 

ビュッフェ形式のパーティでは、「お皿は一人一枚です」とでも言われない限り、一度使ったお皿は使いません。自分が盛った料理を食べてしまったら、そのお皿は、小テーブルの上に置いておくか、サービススタッフに渡すか、にして、次に料理を取るときはまた新しい皿を使います。同じお皿を持って、ビュッフェボードに料理を取りに行くのはマナー違反となりますので、注意してください。

これは、汚れた皿をできるだけ他の人に見せない心遣いであり、またいたずらに汚れた皿を持ち回って粗相をすることを防ぐための、古くからの知恵でもあるのです。

 

 

自分の分は自分で

 

自分の料理は自分で取りに行くのは重要なマナーです。ビュッフェの時に「非常に日本的な迷惑な振る舞い」と良く外国人や外国慣れした人が眉をひそめるのが、「料理を人の分まで運んであげる」「仲良しグループ用に料理を運ぶ」という振る舞いです。マナーに疎いコミュニティや地域でよく見る、と言われています。

やっている本人は「親切」や「おもてなし」の意図があると思いますが、ハタ迷惑な振る舞いと言わざるを得ません。そのような余計な行為を「思いやりのある行為」として新人や女性に命じる人間もいますが、厳に慎むべき悪習です。ビュッフェは「出会い・会話」を楽しむものです。飲食はその都度自分の分を取りに行ったりするほうが、人に近づいたり離れたり、に都合が良いのです。また、料理を持ち寄って、少人数だけの「小宴会」が始まっては、人の動きを阻害しますし、テーブルの独占にもなりがちですので、主催者や他の参加者に迷惑になります。

変に人の世話をするよりも一人一人がもっと広く交遊できるように行動しましょう。

 

 

テーブルの独占は慎む

 

前述のとおり、ビュッフェパーティでは、ビュッフェボードの他に「アイランドテーブル」と呼ばれる小テーブルがいくつか会場に配されています。このテーブルは、その時々、料理を食べる人がいったん料理を置ける場所として置いてあるので、一人の人、一つのグループが延々独占し続けるのは大変なマナー違反です。どんなに長くても20分程度で他の人に譲るようにしてください。

 

 

20分ルール

 

ビュッフェパーティのように多くの人と交流する形式では、「20分ルール」がよく言われています。これは、話が弾んでもお互いに20分くらいで相手を解放しましょう、ということです。気が合えば、つい話し込んでしまいますが、それでは自分のチャンスも相手のチャンスも潰してしまうことになりかねません。相手も同じように意気投合してくれていれば問題ありませんが、相手としては他の人とも話したいのに、言い出しにくいことだって考えられます。ですから、お互いに長くても20分ほどを目安にしていったん離れます。同じ相手とまた話をしたいと思う時は、名刺を交換したり、「よろしければ今度昼食でも」とか「ぜひSNSでつながってください」など繋がりを持てるようにしましょう。

なお、自分は離れようとしても、相手の話が続いてなかなか移動できないときもあります。そんな時は飲食を離れるきっかけとすると離れやすくなります。例えば「飲み物を取りに行きますので、また後で」とか「今日はお腹が空いていて。失礼して少しお腹に入れてきます」などを理由にして、笑顔で自然に離れましょう。

 

 

立食を中心に、パーティに関しての振る舞いのセオリーやルールをお伝えしました。フォーマルな雰囲気でもカジュアルでも、和洋折衷でも、「基本や原則」を知っていれば振る舞いがブレることは少なくなります。何より、いつどこでどんな場面に行き合うかわかりません。グローバルスタンダードの振る舞いを意識しておきましょう。