以前ご紹介した動作編の復習となります
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「挨拶」は全ての始まり/ 最初が肝心
「挨拶」は全ての始まり、と言われます。特に最初の挨拶は肝心です。 エグゼクティブプレゼンスを意識するあなたなら、新人の時のようなフレッシュな挨拶で終わってはいけません。礼節や振る舞いはしっかりポイントをおさえて、自信や格を感じさせる挨拶にしたいですね。
まず、アイコンタクトや目元・口元の表情でしっかり自分を相手に印象付けることが大切です。 このページの内容はほとんど以前ご紹介した動作編の復習となります。このページでもう一度思い出してください。
お辞儀を美しく
「礼(お辞儀)」の動作は、日本人特有の挨拶の仕方として、よく知られています。日本人の清廉なイメージとよく合っていると見え、美しい動作としてみられているようです。
海外から来訪した国賓が頭を垂れる風景も幾度となく見かけます。ただ、惜しいかな、外国の方がやると今ひとつ綺麗に見えないことがよくあります。その理由は「首を曲げない、曲げるのは腰から」という一点ができていないからです。
「首を曲げない、曲げるのは腰から」というお辞儀の動作は以前の回でお伝えしました。浅い角度の時はできる方がほとんどですが、深い角度のものになると、とたんに頭だけを下げるような動作になる方は少なくありません。腰からきれいに折るためには、腹筋や腿の力がけっこういるからです。しかし、深いお辞儀が必要なタイミングは謝罪や深い感謝など大事な場面が多く、また大勢から見られる場面となることもあります。非日常である深い角度のお辞儀こそ日常で練習しておくことをお勧めします。
美しいお辞儀のポイントはこのほかに「呼吸を使いゆっくり行う(礼三息」、「視線を自然に落とす」をお伝えし、合わせて3種の礼(会釈・敬礼・最敬礼」についてもお伝えしました。
先語後礼
日常よく行う「同時礼」と違い、正式な挨拶として覚えておかなければならない「先語後礼」についても「お辞儀と挨拶」でお伝えしました。こちらも慣れないままでは肝心なときにうまくできません。ぜひ練習をしておいてください。
名刺交換
「名刺交換のマナー」は日本でしか行われませんが、日本国内でのビジネスにおいては、大変重要なものです。ここでは名刺交換の所作のポイントを再度見直しください。
両手・正面・胸の高さ
●名刺交換に限らず、人に何か物を渡す時にはその物を「自分の正面に両手で、胸の高さくらいに持つ」をいうのが基本の動作です。
差し出す順番に注意
●渡す順番には決まりがあります。基本として「自分の名刺を先に相手に受け取ってもらう(挨拶の順番は目下から目上に先にすることが決まりだから)」ということを覚えておいてください。
●また「相手を上に」という心遣いから、相手の名刺よりも自分の名刺を下にするように差し出すことも基本です。
きちんと見て相手の情報を確認
●名刺は相手の基本情報が載っています。よく見て、お名前の読み方がわからないときなどは最初に聞いておきます。
●この時、「素敵なお名前ですね」「本社は◯◯でいらっしゃるんですね」などと「きちんと見ています」ということを会話で匂わすことも、ちょっとした気遣いです。また、そのように言ったことがきっかけになってその後の会話にもつながります。
すぐにしまわず、相手と呼吸を合わせる
●いただいた名刺をすぐに名刺入れにしまうことはタブーです。次の予定に移るまでは名刺を頂いたまま話をします。
●そのまま打ち合わせに入るなら、テーブルなどの自分の手元に近いところに置いておきます。
相手と同じくらい大事に
●たとえ一枚の紙であっても、そこに精神性を見出す日本人的気質では、相手の名前が記載されている名刺は相手と同じくらい大切にすべきものです。
●打ち合わせに熱中しているうちにテーブルから落としてしまったり、何かを相手の目の前で相手の名刺に書き込んだりすることは非常に失礼にあたり、相手の不快感を誘います。扱いにはくれぐれも気をつけましょう。
上記のポイントを意識し、動作にメリハリをつけると、フレッシュで礼儀正しい所作になりますが、エグゼクティブクラス、エグゼクティブ予備軍クラスは、人の上に立つ存在にふさわしい風格が欲しいので、あまり「フレッシュで礼儀正しい」という印象が強いのはマイナスです。姿勢には気をつけて堂々とした雰囲気を出しながら、動作をなめらかにし、アルカイックスマイルなど余裕のある表情を演出するように気をつけてください。
なお、海外での最初の挨拶ではうやうやしく紙切れ(名刺)を交換し、当の相手よりもその紙切れに書いている情報ばかりを見る、という行為は、どちらかというと不思議がられます。そのことは覚えておいてください。海外では、まず当人同士の自己紹介と握手から始まります。ビジネスカード(名刺)は、そのままひとしきり会話したあと、「よかったらいつでもここに連絡してください」と片手で渡すくらいのものです。ただ近年では、日本スタイルの「メイシコウカン」を知っている人も増えたので、話のきっかけとしてはいいかもしれません。
握手のマナー
握手は世界標準のマナーではポピュラーな挨拶の仕方です。
所作としてはごく簡単なものですが、どちらの手で行うか、力加減は、などのやや細かい違いで微妙に相手に伝わる印象に差が出る場合もありますので、下記の3つのポイントを覚えておいてください。
1 過剰表現や間違い表現をしないようにする
2 ノーマルな握手方法を知っておく
3 順番のマナーを知っておく
避けたいk過剰表現や間違い表現
×握手をしながら頭を下げる
×力を込めすぎる
×相手が差し出した片手を両手で握る
×何度も握手を求める
×意味もなくブンブンと上下に大きく振る
×フニャフニャとした力のない握手をする(Dead Fish =死んだ魚と呼ばれる嫌われ行為)
ノーマルな握手方法
●握手をする手は右手(左利きでも右手でするのが原則)
●握手する手が冷たくならないよう、パーティなどでは飲み物を持つ手は左とされる
●対等な相手となら、手のひらは地面に対して垂直に差し出す
●手は相手との対角線上に差し出す
●親指と人差し指の間を開いた間の水かき部分を合わせ、手のひらをあけて手のひらの真ん中を触れ合わせる
●相手と同じ程度の強さで一回力を入れ相手の手を握る。ほぼ同時に肘から軽く1〜2回振る。(特別な思いを込めるときなどは、やや長めに手を握っていることもある。)
※握手はなぜ右に限られるかについては諸説あります。あまり意味を気にせず、「とりあえず右」と覚えておけばよいでしょう。
・元々利き手に武器を持っていないことを示す動作だったから
・西洋では、右が上位とされるから
・左手の握手は「敵意」を表すとされているから
・右を聖なる手、左を不浄の手、とする国もあるから
順番のマナー
●基本=目上の人間から先に手を差し出し、それを許可として目下の人間がその手を握る、という順番
●レディファーストの観点から男性が女性に握手を求めるのは失礼とされているが、最近のビジネスの場においては気にしない人も増えている
自己紹介はエレベーターピッチで
多くの人がいる場所の初対面の挨拶では、何らかの自分についての印象を相手に残さないと、そこからのコミュニケーションにつながりません。また、すぐに忘れられてしまうでしょう。自分についての正確な情報、ポジティブな情報を要領よく相手に伝え、自分と知り合うことにメリットを感じてもらってください。それにはエレベーターピッチ的なセルフプレゼンテーションを用意して、30秒~1分程度で自分のことを伝えるようにします。
エレベーターピッチ的なセルフプレゼンテーションについては別の回でお話をしています。いざというときにまごまごしないように、自己紹介の内容をちゃんと用意しておくことをおすすめします。
ここで学ぶレベルの人は、以上の動作のポイントが意識しなくてもなめらかにできること、動作だけでなく適切な表情や視線、声などで自分にふさわしい格が表現できていることが必要です。合わせてご確認ください。