人のパーソナリティの違いが出やすいポイントは?性格因子のお話しで、人についてもっと知っていただきます。
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性格の「因子」の違い
何度も言うように、私たち素人にとって人のパーソナリティの深淵まで知るのはほぼ不可能です。しかし、多くの研究でパーソナリティの違いを決める大まかな傾向があることはわかってきました。人のパーソナリティの違いを特に際立たせる要素、「性格因子」と呼ばれるものです。性格因子で代表的だと考えられるものが有力な因子5つ、呼称「ビッグ5」です。その5つの因子の組み合わせによって、大まかな性格傾向が決まるという研究があります。これを見ると、人の価値観や行動を大きく左右するポイントはこういう箇所なのだということがわかりやすいので、ここで少し知っておきましょう。
「ビッグ5」
1.情動性/非情動性
情動性が高いと、神経的に敏感で感情の振れ幅が大きい、感情の影響を受けやすい、という傾向になります。それがどれくらいの度合いか、ということです。
2.外向性/内向性
外向性が高いと、興味や関心が外側の世界に向かいがちで、内向性が高いと自分のインナーに向かいがちだということです。また外向性は外界からの刺激(例えば人に何かを言われたり、他の人に何かアピールしなければならなかったりした時)にそれを抵抗なく受け入れやすいのですが、内向性が高いと、受け入れにくく抵抗感があるということです。
3.遊戯性/現実性
遊戯性が高いと、夢見がちでロマンから入る、現実性が高いと、堅実で現実から入る、ということです。
4.愛着性/分離性
愛着性が高いと、周りを気にし同調しようとする傾向が高く、分離性が高いと「人は人、自分は自分」という感覚が強く、周りを気にしないでいられる傾向ということです。
5.統制性/自然性
統制性が高いと自然に規律を好む傾向で、例えばお休みの日でもスケジュールを決めて規則通り過ごそうとします。自然性が高いと、あるがまま制約がない状態を好む傾向で、お休みなどでしたら自分のその時の気分に任せようということです。
(参考:丹野義彦「性格の心理」など)
各性格因子をスケール状に並べて、自分がどの位置に当てはまるか印をつけるとしたら、どのような配置になりますか?
そして、もし自分の家族やパートナー、部下などについても同じように印をつけて考えてみると、自分とどんな差が出るでしょう?
こうすると「性格の差」ひいては日常の態度や行動の差がわかりやすくなると思いませんか?。 自分からそのスケールでの距離が離れている人は、自分と大きな違いを感じ、理解し難く感じることも多いかもしれません。そして、そういう自分と離れたところが相手の「欠点」であると見えがちです。しかし、こうしてみるとお互いの違いでしかないことがわかります。
誰にも「欠点」はなく、「特性」があるだけなのです。
もちろん、ビジネスでは「その仕事や役割についての適性がある/無い」と考えるべき場面はあります。しかし、それは決して欠点ではありません。いたずらな批判にならず、パーソナリティの傾向から適性を考える視点を持ってください。他人についてだけでなく、自分についても、客観的で公平な評価ができるように。
これは「上に立つ人」にとって必須の感覚です。