3つのシーンはわかりましたか?

さて、女性の仕事服スタイルは幅が広いぶん、注意が必要です。『自分の立場』や『役割』に合う服装」という視点から、その注意を見ていきましょう。

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(約11分)

 

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テーラードスーツとデザインスーツ、選ぶべきはどちら?

 

「デザインスーツ」「テーラードスーツ」、現在どちらも女性の仕事服=ビジネスアタイアとして活用されています。どちらを選んだらいいのか、どちらも正解なのか、シーンによって判別しにくいところがあります。

ただ、男性の鉄板スーツの女性版のような形である「テーラードスーツ」は、より「信頼感」「実直さ」「誠実さ」は強く出しやすいでしょう。同時に「お堅いイメージ」もより強いです。

ですから、女性らしい品格や、エレガントさは「デザインスーツ」のほうが出しやすいと言えます。しかし謹厳実直な感じはテーラードスーツにくらべれば出にくいです。

 

つまり、同じようなシーンでも「出したいイメージ」によって、選択が変わってきます。

 

クールなビジネスらしさや、「誠実」「真面目」などの堅いイメージを出そうとするなら、テーラードのほうが向いています。

エレガントさや女性らしい落ち着きを強調したいならデザインスーツが向いています。

 

これらを踏まえて、女性の3つのゾーンを見て行きましょう。

 

 

やや複雑な、女性の「3つのゾーン」別イメージ

 

女性の3つのゾーンのイメージは、先ほどの男性の服装を3つのゾーンにあてはめたものより、複雑な様相になります。

 

硬い

 

長く男性社会であった「ビジネス」の場面、特に「硬い場面」では、長く受け継がれてきた男性スーツイメージがより効果的と言えます。

 

つまり、いちばん「硬い」イメージを作り出せる服装は、ダークカラー(ネイビー、ダークグレー、チャコール」のテーラードスーツです。謹厳実直なイメージにもなりますので、謝罪などの場合は、これを選ぶべきでしょう。

このような場面の場合は、インナーは『白」一択と思ってください。特に謝罪など真面目で真摯な姿勢を示すためには、ネイビーと白の組み合わせが鉄板です。「誠実」のイメージをいちばん演出し、無意識に信頼を得やすい組み合わせです。

しかし、謝罪以外の場面でしたら、同じダークカラーのデザインスーツでも遜色ありません。ただし、硬い場面では、フェミニンな装飾、例えばレースの部分使いなどは、ないほうが無難です。

ジャケットとワンピースのアンサンブルは、だいたいにおいてデザインスーツと同一視されますが、実はジャケット+ボトムスの普通のスーツよりカジュアルなニュアンスの服です。ですから、これも非常に硬い場面、例えば謝罪場面などでは用いない方が無難です。

ワンピースアンサンブルの例

 

 

華やか

 

「華やかな場面」では、女性らしいデザインスーツも似合います。あなたがキャラクター性の強い仕事や目立つべきポジションなら、深い赤や深いグリーンなどのスーツ、ジャケット+ワンピーススタイルも良いでしょう。

また、シックなカラーで少しレースなどの装飾がついたものも華やかです。

なお、この「華やかな場面」が、もしも非常に社交的な意味合いがあり、よりフォーマル的でエレガントな雰囲気のものであるなら、スーツよりもインフォーマルドレスの選択をした方がいい場合があります

 

「インフォーマルドレス」とは、直訳では「フォーマルでないドレス全般」を指しますが、特に「インフォーマルドレス」という時には、エレガントに着ることができる普通丈のワンピースをイメージする時が多いです。ですから、昼間の時間帯には、あまり肌の露出がない長そでのエレガントなワンピースや女性らしいスーツ。夜は少し肌を出したエレガントなワンピースや女性らしいスーツをイメージするといいでしょう。

 

 

日常的

 

女性は男性に比べて、だいぶ選択肢が多いと言えるでしょう。「硬い」までいかなくても、対外的な性格の仕事であれば、テーラードスーツやデザインスーツです。ライトグレー、グレージュ、ベージュなど、柔らかい色目のものもいいでしょう。

もう少しくだけていいなら、ジャケットとスカートやパンツ、ワンピースという組み合わせがあります。また、ブラウスのセットアップスーツ、しっかりしたブラウスとスカート、カーディガンを羽織る、という選択もできます。

しかし、役職についている方はご自分の役職や立場を引き立てることも考えて選択することをお勧めしたく、その意味では何かしらジャケットを羽織るスタイルをおすすめします。

 

 

 

幅が広いぶん、注意が必要な女性スタイル

「『自分の立場』や『役割』に合う服装」という視点

 

さきほど言いましたように、日常的な場面に行くに従って、男性より女性の方が選択できるスタイルやアイテムは多くなります。もしも男性が身につけたら、周囲からぎょっとされるような「流行まるわかりアイテム」も、女性が着ているとそれほど問題視はされません。

ジャケット着用も、男性と比べてうるさく言われないので、クールビズやウォームビズの時は、カーディガンやブラウスもアリと言えます。

ただし、柔らかくカジュアルなアイテムを選べば、それだけ「権威」「格」のイメージからは遠ざかります

責任ある立場でいらっしゃるなら、自分自身をその責任にふさわしいよう演出し、周囲に納得感をもたせることも責任の一環です。

服装を選ぶときは「好き・ラク」だけでは不足で、自分の立場や役割に合った「あなたにふさわしい服」を選ぶ必要があります。

 

 

ボトムスの形について

 

ボトムス、つまりスカートやパンツなど下にはくものも女性用のバリエーションは幅広いです。

スカートであれば、タイト、ストレート、フレアー、ギャザー、などの形があります。長さも短めからかなり長めのものまであります。

パンツでも、ストレート、スリム、クロップド(9分丈)、ワイド、などを見ることができます。

しかし、この中から一般的ビジネスの、リーダー格以上の方におすすめするのは、スカートの場合「ストレート ひざ丈~ひざ下丈」、パンツの場合「ストレート くるぶし丈」です。

 

理由は、シンプルで動くのに邪魔にならず、流行に左右されにくいこと。男性のスーツスタイルに見られる「ビジネス的シルエット」になることです。

「ストレート」とは、身体のラインに沿った形ですが、身体の線を出し過ぎず、就かず離れずくらいのゆとりがあるシルエットです。身体の線が出過ぎるのは、おわかりのとおりビジネスシーンにはふさわしくありません。かといって、だぼだぼでは職場の安全上問題がありますし、何よりゆるいシルエットは信頼感や有能な雰囲気は感じさせにくいことも知っておいてください。

長さに関しては、流行に左右されにくい「ノーマルな丈」が、節度の求められるビジネスシーンでは大切です。

ただし、実はノーマル丈の感覚は流行に影響されます。今現在2020年はスカート丈は長め傾向ですので、同じひざ丈~ひざ下丈でも少し長めとなっています。その年のデザインにはアンテナをはっておきましょう。

 

 

パンツスーツの注意点

 

さきほどの3つのゾーンの説明では、パンツスーツが上図ではどちらかというと日常的、カジュアルな方に入るのにお気づきと思います。

これは、女性にとって「パンツ」というアイテムがどうしても「動く、活動的」というイメージを出しがちであるという理由です。

 

伝統的なスタイルのほうが「威厳」は出しやすいのです。女性にとっては、パンツよりスカートの方がフォーマルイメージに近く、それゆえにインフォーマルであるビジネスにおいても、スカートの方が「女性の威厳」は醸し出しやすいのです。

またパンツスタイルは活動的、つまり「着ている人は積極的に動く」イメージです。「動く」イメージは、実際のお仕事が「動く・活動する」必要がある人はこの限りではありませんが、指導者や指示者ではなく、逆にその人たちから「指導や指示を受ける人」に近くなります

 

もちろん、パンツスーツに罪はありません。また、あくまで「スカートのほうが威厳が出しやすい」というレベルです。

しかし、「昨日はスカートだから、今日はパンツ」というような、安易なスタイル選択はストップしてください。パンツスーツばかり着用していたために、役職より軽くみられていた、という例もあります。

 

「今日は現場だから『動く』イメージで、現場の人の共感を引き出したい。だからパンツ」

「今日は部下と一緒にプレゼンだから、皆に私のリーダーらしさをきちんと示したい。やっぱりスカート」

 

 

このように、パンツ、スカートのどちらを選べば、より自分が描くイメージになるのかを考えていただきたいのです。

 

 

 

3つのゾーンの違いに合わせて、注意事項もご理解いただけましたか?

次の項目では、色や柄について、特に品や威厳を左右するポイントをお伝えします。