あなたは、これからステップアップしステージが上がっていきます。そして年齢も重ねていくことになります。 そのときに、服装がどんなメッセージを持つかということと、自分にとって正しいメッセージを周囲に届けるには服装をどうするか、ということを知ることは武器になります。

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「ドレスコード」の意味

 

あなたにとって正しい装いとは

 

あなたは、これからステップアップしステージが上がっていきます。そして年齢も重ねていくことになります。

そのときに、服装がどんなメッセージを持つかということと、自分にとって正しいメッセージを周囲に届けるには服装をどうするか、ということを知ることは武器になります。「非言語コミュニケーション」の研究では、服装は以下について、あなたのことを周囲に伝える役割があります。

 

    • 社会的成熟度を示す
    • 相手との距離感を示す
    • その場や相手への尊敬度、敬意を示す
    • その場の雰囲気を演出する
    • ポジションや立場を表現する

 

これらを見ていると、服装は、あなたの社会的な立場やあなたの社会に対する感覚を示しているかがよくわかります。

ですから、「いかに自分に似合い、美しく見えるか」を考えることは大切ですが、一方で「何がルールで、どれだけ守ればいいか」という考えもなければなりません。どちらか一方ではなく、その二つの考えのバランスを取ることが大切なのです。あなたが人を魅了し、なおかつ社会的に十分に安心な評価を得るようでないと、「あなたにとって正しい装い」とは言えません。

正しく自分を表現するためにも、服装のルール「ドレスコード」を最初に正しく理解しておきましょう。

 

 

ドレスコードの意味

 

ドレスコードは「服装規定」と訳される言葉です。そう考えると「制服」のようなイメージを持つ人もいます。いっぽうでパーティドレスのような華やかな服のイメージを持つ人もいます。

「ドレスコード」という言葉について正しく理解しましょう。今使われている「ドレスコード」という言葉には3つの意味があります

ドレスコードの意味 その1

意味その1は「フォーマルシーンで、いつどんなものを着るか、という規定」です。フォーマルウェアは決まりが非常に厳格ですので、「何をどう着るか」もドレスコードのひとつです。

今よりずっと昔、人々の生活の中には儀礼的なシーンが多く、また敬虔な気持ちを持つ人が多かったので、フォーマルウェアは今より生活に密着したものでした。ドレスコードは、はるか昔はフォーマルウェアのルールのみを指していました。貴族などの特権階級では、さらに儀礼的なシーンにのっとって生活しており、シーンに合わせて日に何度も着替えていたほどです。西洋の洋服は、この「貴族階級」が着ていたものの派生が多いので、現代の洋服にもその影響が随所にあります。

現代ではごく日常の生活にはフォーマルの登場シーンはありませんが、いったんフォーマルシーンになれば、時間帯、厳格さや敬虔さの度合い、目的、列席者の種類、伝統的な決まりによって、着るものと着方は規定されます。

これが「その1」である「ドレスコード」です。

 

 

ドレスコードの意味 その2

意味その2は、日常の「適切な服装選択や着こなし、組み合わせ」です。つまり、現代に生きる私たちの普通の「着ていくもの」のルールです。

ただ、今の服装感覚は「その1」のようなフォーマルウェアから派生してだんだんと一般化したものです。フォーマルウェアの価値観が底にあります。

「普通の」と言っても、「品格」や「大人の常識」をわきまえた人、と見られるような「ふさわしい服装」を選ぶには、決まり事は気にしなければいけません。

もちろん、ごくプライベートなファッションはその限りではありませんが、少なくとも「パブリック」(プライベートで空間ではなく、人とシェアしている空間」においては、自分の立場を適切に表現することや、相手や周囲に対し気遣いや敬意を表せる服装を「適切な服装選択や着こなし、組み合わせ」であるとして選ぶ必要があります。

ですから、服装の「格」や場面ごとにふさわしい色や柄を判断する目を持ちましょう。

 

 

ドレスコードの意味 その3

意味その3は、「共感や統一感のためにリクエストされる色やスタイル」です。

ドレスコードは、上のような「常識」としてわきまえるべき知識以外に、「統一感」の目的で使われることがあります。例えば、何かの会やパーティなどの場面で、皆がてんでバラバラの格好をしていては、同じ場所にいることの共感が感じにくなります。一方はひどく格式が高い格好で、もう一方はずいぶんカジュアルな格好であるのも、お互い楽しめません。こういったことから、催事の主催者が指定してくるものもドレスコードです。

ですから、このようなドレスコードは招待状やイベント案内に記載されていることがほとんどです。

「正礼装」「などのようにもともとドレスコードの(意味その1)として現存するスタイル(公式コード)を指定されたり、「スマートカジュアル」「エレガント」などあとから創作された言葉による感覚的な指定があったり、「イエロー」「グリーン」などと、身につけるものの色を指定されたりします。

色指定などの場合は、(意味その2)の「その場にあった服装」を選んだ上で、統一感のためのものを身に着けることになります。つまり、例えば「イエロー」と指定してあったからといっても、その会合がちゃんとしたものであった場合、黄色いTシャツなどを身に着けていっては、やはり「常識がない」とされるということです。

 

 

フォーマルウェアとTPO

 

ドレスコードの概略

 

もともとフォーマルのルールとして生まれたのがドレスコードですので、その考え方や感覚は現代の服装にも影響しています。ですから、現代の服装ルールを理解するためにも、それらの考え方や感覚を理解しておきましょう。

まずこちらをご覧ください。大きく見たドレスコードの構成です。実際は、もう少し細かく場面が分かれますが、まずドレスコード全体をざっくりと把握していただければ結構です。

 

 

ここでは、下記のことがわかります。

●ドレスコードは「フォーマル」と「インフォーマル」に分かれる

●フォーマルには「正」と「準」があり、「昼」と「夜」の時間帯にわかれている

 

 

「フォーマル」と「インフォーマル」

 

「インフォーマル」とは「フォーマル」ではない、略式の、という意味の言葉です。

昔の貴族の世界では、例えば儀礼や社交界といった「公式」場面と、狩猟や散歩や私的なお茶会といった「私的」場面では着るものに違いがありました。

そして「公式場面」ではフォーマルウェア、「私的場面」では「インフォーマルウェア」という選択でした。

 

ですから、普段私たちが普通に着ているのは「インフォーマルウェア」と分類されます。

例えば、男性がビジネスで着る普通のスーツは「インフォーマルウェア」にあたります。

同じスーツでも、「フォーマルウェア」とは別物。細部や使う生地など、ルールがまるで違うことを知っておいてください。

 

「パブリック」と「プライベート」

 

インフォーマルのシーンでも「区別」があります。それは「パブリック」と「プライベート」です。

パブリック」は、先にも言いましたように、プライベートで空間ではなく、人とシェアしている空間にいることであり、それなりの節度が必要な空間です。「プライベート」は、ごく私的な感覚で振る舞ってもいい空間です。

そのほかでは、仕事の役職などの公的な立場にいるときは、その空間は「パブリック」と考えられます。

ですからビジネスのときのかっこうは、基本的には「インフォーマルだがパブリック」と考え、それなりに節度のあるスタイルでいることを考えたほうが良いでしょう。

 

「正」と「準」

 

フォーマルウェアは大きく分けると「正礼装」と「準礼装」に分かれます。

 

「正礼装」は「最も正式な場所に着ていく服装」であり、その種類は厳格に決められています。日本で正礼装をすべき場面は、一般ではまずなく、皇室が国賓を招くときなど、ごく限られています。

海外ではノーベル賞授賞式と晩さん会が正礼装の機会としてはよく知られています。

日本ではあまりなじみがないですが、結婚式に花嫁花婿の父親はよく、昼間の正礼装であるモーニングを着用することが多く、母親は洋服ではなく着物の正礼装として五つ紋付きの黒留袖という格好をすることが多いですね。

 

「準礼装」は「正礼装に準ずる服装」とされます。日本でも夜の準礼装であるタキシード着用のパーティなどの機会を見るようになりました。

欧米などでは意外とよく着用され、企業関連のパーティなどでもホスト側が身に着けていることがあります。海外赴任などのときには、その感覚の違いに注意が必要なことがあります。

 

「昼」と「夜」の区別

 

もともと貴族の生活から端を発しているのがフォーマルウェア。そのフォーマルウェアは「昼」「夜」といった時間帯でふさわしい服装を厳格に分けます。

ですからフォーマルウェアは大きく分けると4種類です。つまり、夜の正礼装、昼の正礼装、夜の準礼装、昼の準礼装、です。

「ドレスコード」はフォーマルウェアがベースになって発達してきたので、「きちんとした格好」になるにつれて、「昼にふさわしい」「夜にふさわしい」という配慮が必要な場合が多くなります。そういった感覚に気をつけていきましょう。

 

 

日本の礼服は世界では略装?

 

日本では、男性の場合は結婚式では昼でも夜でもブラックスーツに白い付け下げのネクタイ、という出で立ちが普通ですが、国際的なルールで見ると、その格好は「略礼装」にあたります。

正式なフォーマルは、昼と夜との区別があり、また着方や小物まではっきりと決まっています。

国際的なマナーと日本の慣習の違いを意識しておきましょう

 

 

フォーマルウェアそれぞれの服装とイメージ

 

正礼装

 

正礼装は最上級のフォーマルです。

夜は男性は燕尾服、女性はローブデコルテという肩と腕を出した裾の長いドレスに肘までの手袋という格好です。(イブニングドレスの場合もあり)

昼は男性はモーニング、女性はローブモンタントという襟のつまった袖と裾が長いドレスを着ます。結婚式で新郎新婦のご両親が着ているようなスタイルですね。(母親側のほうは洋装のローブモンタントを選ぶことは少なく、黒留袖5つ紋を選ぶ人が実際は多いです)

正礼装は、それこそ公式であり非常に格式が高いところか、国賓クラスの集う場所でしか着る機会はありません。特に正式なフォーマル場面があまりない日本では、天皇家の晩さん会などに招かれる以外には、お子様の結婚式などで一生一度着るくらいではないかと思います。

 

準礼装

 

準礼装は正礼装に比べて登場頻度は高くなります

特に夜の準礼装であるタキシード(女性はその場面にふさわしいドレス)は、海外では意外に着る機会が多いものです。日本でも着る機会が増え、それとともに、構えず着こなす人がだんだんと増えています。男性がタキシードの場合、女性はイブニングドレスや露出度高めで裾が長めのディナードレスカクテルドレスです。

昼の準礼装は、男性はディレクターズスーツというモーニングの尻尾を切ったようなスタイルですが、最近はブラックスーツやダークグレーのスーツなどがほとんどのようです。女性はアフタヌーンドレスと呼ぶエレガントな形の袖の長いワンピースかドレスアップ用のスーツです。

礼服を誂えなくても、普段よりエレガントな雰囲気の服装、というイメージでいれば良いでしょう。ただし、袖は7分袖以上、丈はミモレ丈以上が一応の決まりです。

 

いかがでしたか? 漠然としていたドレスコードのことが頭の中で整理されてきたのではないでしょうか。

細かい理解を進めるために、さらにこの続きをご覧ください。