エグゼクティブプレゼンスを身につけるプロセスの最初でありメインとなるのは「印象コントロール」です。「印象」とは何で「印象コントロール」とは何をすることかを、ここで理解しましょう。

 

 

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印象コントロールとは

 

「印象コントロール」とは、シンプルに言うと自分が相手に与える印象を意図的にコントロールすることです。エグゼクティブプレゼンスを身につけるためのトレーニングの3つの重要な領域の一つです。

印象コントロールはいろいろな場面で重要ですが、印象コントロールができる人は、まず「見た目で人を惹きつける」と言えます。「華」とか「オーラ」と呼ばれる、他人の心をパッと掴む魅力が身につくのです。

ポジションが高い人などが「さすが」「やっぱり」「見たらわかる」と思われるのも、印象コントロールの力です。ポジションや役割にふさわしいことを存在感で示し、瞬時に周囲を納得させる技術です。

人としての価値を感じさせ、周囲の関心を刺激するのも、印象コントロールができている人の特徴です。「気になる」「知り合いになりたい」と思わせてしまうのです。

 

そして、単純な見かけの話だけではなく、広く「表現力」「演出力」としても必要なのが印象コントロールです。ここでは「コミュニケーションのための非言語メッセージ」と言い換えることもできます。人を説得し、納得させるのは言葉の巧みさよりも印象の力が重要なことが多いのです。印象コントロールは人を動かす力の一部です。

印象コントロールは、自分の自信を確立させることにも寄与します。毎日自分を見る上で、自分が望む印象を身につけていることは何よりも自信を高めるからです。

 

このように、ビジネスにおいては、自分の専門性や信頼性、説得力などを高めるために「印象コントロール」は必要な技術の一つとされています。 具体的な習得方法としては、表情や話し方、姿勢、動作など自分が持つ身体要素を使った非言語表現力、戦略的な服装選択など演出力を高めることです。さらに、コミュニケーションスキルと組み合わせた説得力や影響力を強める知識や技術も欠かせません。

最初は、「印象」についてまず理解し、自分が人に与える印象に影響する要素を意識してください。

 

 

印象とは

 

「『印象』とは何ですか?」と聞かれて、答えられますか?

「印象」は誰もが知る言葉ですが、その意味は意外とちゃんと知られていません。そして多くの人が「第一印象」など最初だけ必要なものという理解や、「見た目や服装のこと」など視覚だけに関わったものという理解をしているのが現状です。ですから、ぜひここで「印象」を正しく理解いただき、効果的に印象コントロールを身につけていってください。

印象とは何か、というと、辞書には「見たり聞いたりしたときに対象物が人間の心に与える感じ/心に残っていること」という説明がされています(参考:大辞林)。

もう少し詳しく言うと、人が対象物に関して五感を通じて取り込んだ情報を自分の脳で感知して起こる反応です。思考や判断、行動、記憶などの元になります。

では、AさんとBさんが出会ったときにAさんの印象はどこにできるでしょうか? Aさんの顔でしょうか?服装でしょうか? いいえ、Aさんの印象はAさんと会ったときにBさんが取り込んだ情報を元にBさんに頭の中にできています。

印象が形成されるのは、対照を見た人の頭の中です。そして、それが対象についての思考や判断に影響します。まず、そのことをよく理解してください。「印象コントロール」とは、自分が持つ情報は取り入れた相手によってどんな反応を生むだろうか?と考えて、自分が持つ情報を工夫することです。

 

 

 

 

人間の脳は、私たちが想像するよりもはるかに多くの情報を、五感を通じて取り込み、その情報に反応を返しています。これは自分の身を守るために外界を監視する意味があります。

五感から情報を取り込むということをよく覚えておいてください。取り込むのは視覚情報だけに限りません。つまり見た目だけの話ではないのです。聴覚、嗅覚、味覚、触覚なども働きます。

例えば、対象となるのが人間であれば、その人の声や話し方、体臭などの匂いも印象を構成します。対象と距離があれば味覚や触覚はあまり関係なさそうですが、その人の醸し出す熱感や圧力、動作によって起こる空気の動きなども関係します。もちろん、人の表情や視線、姿勢や動作、服装や身だしなみは言うまでもありません。これらは、人間の潜在意識というブラックボックスで情報処理され、人間の感覚や感情に影響を与え判断の元になります。

 

 

 

 

そして、もう一つとても大事なことを改めて理解しておいてください。「印象」が影響するのは初対面の第一印象など、限られた場面や時間だけではありません。

「印象」は常に人に影響を与えています。私たちの脳は常に貪欲に情報を取り入れ、日々の判断に生かしています。毎日のコミュニケーションにおいて、取引先や上司・部下、知人や友人、家族に至るまで、印象は影響します。

仕事の成果も、人間関係も、印象が影響を及ぼします。それをよく覚えておきましょう。

 

 

 

 

印象コントロールと印象について、よく理解していただけましたか?

ここをよく理解しておかないと、印象コントロールのための知識を取り入れていただいても、無駄になることがあります。ぜひ、よく覚えておいてください。

 

最後に、「印象」についてもう一つ大事なことを言います。

「印象」はほんの少しの差が大きく結果をわける、ということです。例えばちょっとした身だしなみの差や、ほんの少しの表情への気遣いがあなたが人に与える印象を変えます。

ですから、印象コントロール自体はそれほど大変なものではありません。表情、視線、姿勢、動作、声と話し方、服装、身だしなみのポイントを知っておけば、大丈夫です。